環境補足協定が安倍政権の功績?|日米地位協定の問題点(環境汚染)

政策争点
Photo by Marcin Jozwiak

「なぜ在日米軍は日本でやりたい放題ができるのか?」

米軍は環境問題に関しても非常に有害な影響を附近の住民に与えています。

日米地位協定第4条1には、貸し出された土地の原状回復義務が米軍にはなく、環境に有害な物質を使い放題、汚し放題を米側に許容しているのです。

基地内の米軍機からの燃料流出を含む、環境汚染に対しなすすべがないのが現状の地位協定。

改定を求める地方自治体の声は大きいのですが、政府は”運用の改善”で対処するというのみで、本気で米国側と喧嘩けんかするつもりがないのです。

日米は平成27年9月28日『環境補足協定』という国際協定を結びました。

安倍首相は”これまでの運用改善と一線を画する画期的な成果である”(第193回衆院本会議第3号平成29年1月25日)などと自賛しております。

しかし、逆にこれまで行われてきた地方自治体の基地内への立入たちいり権なども制限されるようになってしまいました。

この『環境補足協定』を中心に現在進行中の問題である環境汚染の現状を把握していきたいと思います。

環境汚染時にも守られる米軍の特権!?

『環境補足協定』を締結した背景には、これまでの環境問題に対する日米間の運用改善における合意では実効性がない。

環境問題が発生すれば自治体が基地内に立入たちいり、サンプル採取などの調査を行えるようにしなければならない(日本側の立入権限の強化)。

そのような訴えのもとに、政府は27年の協定を結んだということでした。

しかし、この協定は立入権限に対して”自治体側が必要だと判断したら無条件で基地内に入れるような他国の地位協定で認められている権利”を与えるものではまったくありませんでした。

立ち入りには米軍の許可が必要なんですね。

環境汚染の判断は米側にゆだねられている??

協定の第4条で立ち入りに関して、その手続きは日米合同委員会合意で決めるとあります。その手続きは以下のようなものです。

「米国側は、日本側の申請に対して全ての妥当な考慮を払う、、、、、、、、とともに、申請を認めることが米軍の運用を妨げるか、部隊防護を危うくするか、

または施設・区域の運営を妨げるか否かについて考慮し、実行可能な限り速やかに回答する」とあります。

立入申請の許容について、米国側に裁量の自由度が極めて高い(やりたい放題)規定となっているのがよくわかります。

また立入が認められる場合を2点に限定し、①環境に影響を及ぼす事故(漏出)が現に発生した場合②施設・区域の返還に関連する現地調査(文化財調査を含む)を行う場合、の2点です。

①の場合は、なんと米軍側が環境事故が発生したと事実認定し、日本側に通報することがプロセスの第一段階として定められています。

つまり米軍側が環境事故が起こったと認めない限りは、日本側は立入申請を行えないという欠陥規定であります。

米軍側は何重にも立入調査の”拒否権”をもつ

第一段階のプロセス(米国が日本に通報する)を経ても、第二段階のプロセス以降でまた”米軍の許可”が必要となっている。

米国は何重にも実質的に立ち入り調査の『拒否権』を有しているのです。

この点をつっこまれた政府は、”米国から通報がない場合でも、73年合意により、

日本側が環境汚染を疑う場合には米側に調査要請や立ち入り許可申請等行える”と岸田外相は答弁しております(第190回参院・外交防衛委員会会議録第4号平成28年3月10日)。

しかし、これまでの合意では実効性がなかったからこそ新たに『環境補足協定』(平成28年9月)を結んだのではなかったのか!?

それが73年合意という40年以上前の合意のほうがまだましであったというのでしょうか。

また返還前の文化財調査にいたっては、これまで行われてきた現地調査がこの協定以後行えなくなっております

今回の補足協定では、”返還日の150労働日前、つまり7か月強前の段階から立入が行える”というルールが新しく追加されました。

例えば、立入が拒否されるようになった、米軍キャンプ瑞慶覧ずけらん(キャンプ・フォスター)の施設技術部地区内にある北谷ちゃたん城の調査では返還日が決まっておりません。

よってこの150労働日前という規定を盾にとられて、立入調査ができなくなったのです。

”毒水”を飲まされる沖縄県民、、汚染される水道水

平成28年1月沖縄県企業局の調査により、北谷ちゃたん町の浄水場や嘉手納基地内を流れる大工廻たくえ川、普天間基地に隣接する公園の湧き水から、

残留性有機汚染物質の有機フッ素化合物、PFOSピーホスPFOAピーホアが高濃度検出されました。浄水場や河川といった水道水の取水源が汚染されていたということ。

汚染が発覚してから3年たってもいまだに米軍に調査を”要請中”!?

補足協定第4条及び立入合意に基づき許可申請を行うべきとの声が国会議員より上がりましたが、

岸田外相は”補足協定では米軍の通報がないと動けない。今はまだ情報提供を求めている段階だ”とそれを一蹴しました( 第190回参院・外交防衛委員会会議録第4号平成28年3月10日 )。

平成28年7月の米軍が提出した文書では、日本国内では使用が禁止されているPFOSを含む消火システムが一つ稼働しているとのこと。これで、米軍がPFOSを垂れ流していたことが判明しました。

しかし、国会での追及に対し政府側は”米側にPFOSを含まない製品への早期変換を要請”しており、

いまはまだ”米軍とPFOSとの因果関係は現時点では確定していない、、、、、、、”が、”立入調査を米側に対し要請中である”というのです(中村防衛相地方協力局長 第198回衆院・環境委員会令 和元年5月31日)。

事件発生から3年以上も経過しているのに、いまだに”米軍に要請中”とのこと。

環境補足協定では立入調査は”米軍が環境事故が現に発生したという通報を端緒に”行えるので、これは73年合意による立入調査の申請をしていると思われます。

米軍の環境汚染を”容認”しつづける日本政府

19年4月京都大学の調査で、宜野湾市大山おおやまの住民を対象に血液検査を行ったところ、

国際的製造や使用禁止が検討されている有害物質のPFHxsが全国平均の約53倍の高濃度で検出され、発がん性が指摘されているPFOSは約4倍、PFOAは約2.2倍でした。

水道水を飲用している人のほうが血中濃度が高く、もはや待ったなしの状況となっております。

にもかかわらず、「米軍側が環境汚染など発生していない。沖縄県民の健康など知ったことではない!」とつっぱねられた日本政府はすごすごと引き下がっているのです。

こんな欠陥だらけの環境補足協定のなにが”安倍政権の功績”なのでしょうか。政府の言葉の使い方はおよそ理解に苦しみます。

まとめ

結論として、平成27年に締結された環境補足協定では米軍側が環境汚染の発生を認めて日本側に通報しない限りは、立入調査やサンプル採取の”申請”すらできないのです。

その場合は、40年以上前の73年合意に基づき”申請”をしているのであり、また当然拒否されているわけです。

この欠陥協定のどの部分が「画期的な成果」にあたるのか疑問です。これまでの運用改善というレベルの日米合意では環境問題に関して実効性がないからこそ、

平成27年に環境補足協定が結ばれたはずです。しかし、40年以上前の73年合意のほうがまだ役に立つ、、、、、、ということです。※米側の通報がなくても調査の依頼が出来るだけですが。

現在の日本には、この27年『環境補足協定』も含めて環境汚染時に自治体が無条件で立入調査を行える権限がない

米軍側に裁量の自由度が高い仕組み(米軍やりたい放題)となっている。

地位協定では原状回復義務も負わされておらず、米側は日本の環境を守ろうとするインセンティブが全く存在しない。これでは環境が汚され放題となるのは無理もないと言える。

日本側は”守ってくれ”と要請するのみ。要請だけなら一般市民でも出来ます。日本政府は一般市民とほぼ同じレベルのことしか出来ていないのです(了)。

※環境補足協定と並んで、軍属補足協定も政府は締結し”安倍政権の功績”と安倍首相は自画自賛しております。ぜひこちらもお読みください。

60秒で読める!この記事の要約!(お忙しい方はここだけ )

要約
  • 地位協定第4条では米側に原状回復義務がなく、環境は汚され放題。これまで日米合同委員会合意等で米軍に環境保護を要請してきたが、遂に平成27年9月に環境補足協定(国際協定)を締結するに至る
  • が、自治体に無条件に立ち入り調査を認めるような規定ではなく、米軍の許可が必要とのこと。また本協定では立ち入り調査は、まず米国が環境汚染が発生したと日本側に通報するのが第1段階のプロセス
  • 日本側が主張したところで、米軍が”環境汚染など発生していない”とつっぱねれば日本側は立ち入り調査の”申請”すら行えない。たとえ申請を行えたとしても、その申請に対する回答も米軍の自由裁量である。米軍が”だめだと言えば、それがそのまま通る”のだ
  • 平成28年1月には嘉手納基地周辺の河川や浄水場がPFOSなど有害フッ素化合物で汚染されていることが判明。米軍に立ち入り調査やサンプル採取を73年合意により申請するも、拒否され続ける
  • 19年4月の沖縄県民の血液調査では、全国平均の約53倍の有害フッ素化合物が検出された。それでもいまだに”画期的な成果”と環境補足協定を自賛する日本政府の神経が理解できない

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