必見!”ねじれ国会”で遅延する国会審議|解消する3つの方法(わかりやすく解説)

政治改革
Photo by Jaime Spaniol

2020年1月、日本の国会議員の贈賄問題が話題になっていますね。

汚職問題の他にも、常に問題視されている『決められない政治』という問題。

日本政府も国会も外交面は言うに及ばず、全ての政治上の課題に対してのレスポンスが非常に悪く、常にだらだらと決定力も行動力もない醜態をさらすことが多いといえます。

なぜこうも対応がいつも遅いのか、政治家個人の資質のみならず、構造的な問題に目を向けて解説していきます。

”審議が不十分”と多数決の原理を否定する野党

この方面に関しよく”審議が不十分だ”と野党からの主張が見られます。

ならば”もう充分に審議を終えた”という状態はいつになったら訪れるのでしょうか。

まさか「自分たちの主張が受け入れられない限り、審議が不充分である」という主張は、それこそ”受け入れられない”ないでしょう。

その場合は、表決に関して多数決の原理を採用した現行憲法第56条の改正を目指すという結論になってしまいます。

多数派を占めていない野党の主張が受け入れられないのは当然であるからです。

現行憲法第56条の2として、”国会で過半数を占めていない少数政党の法案修正意見・決議に関して特別な注意を払わなくてはいけない”などと、

そう付け加えるほかには、彼らの主張に正当性はないと思います。

現在の野党勢力、自民党が野党時代にまとめた憲法改正案も含めて、誰もがそのような主張をしていないので、多数決の原理は否定するつもりはないんでしょう。

にもかかわらず、先のような意見が野党から聞こえてきそうな現在の日本の政治情勢は、このような戯言たわごとはともかくとして、

どこか構造上の問題があるのか、今一度考えてみるべきだと思います。

”ねじれ国会”(決められない政治)はなぜ発生??

『決められない政治』と言えば、いろんな要因が考えられますが、その構造上の問題としてたまに発生するのがねじれ国会です。

ねじれ国会とは、二院制を採用する日本で、衆議院は与党、参議院は野党が議院の多数派を占める現象をさします。これでは法案が通らない。

強すぎる参議院、、ねじれ国会発生は選挙の時期が原因

日本では第二院である参議院でも法案が可決されなくては認められず、その衆議院による再可決は3分の2以上の賛成票が必要となるからです。

衆議院で与党が3分の2をはじめて超えたのは2005年です。最近では2012年、2014年、直近の2017年10月の衆院選など与党(自民・公明党)が3分の2を超えておりますが、2000年代に入ってこそみられる現象なんです。

すなわち、これまで日本で”決められない政治”を演じてきた要因の一つは、まぎれもなく”ねじれ国会”であるのは間違いありません。

日本でこのねじれ国会という、いったいどちらの党が国民から支持されているのか分かりにくい現象がたびたび発生する理由は、選挙の時期に関係します。

衆議院は首相のイニシアティブでいつでも解散/総選挙に訴えることができますが、参議院は選挙の時期を選べません。

衆議院と違って、与党が都合のよい時に解散/総選挙が行えず、野党が参院において強くなる傾向が高いのです。

直接公選二院制がそもそも珍しい制度(日本とアメリカくらい)??

本質的な点をあげれば、そもそも直接公選の二院制というのは日本とアメリカくらいで、世界的にきわめて珍しい政治制度であるということ。

議院内閣制において、一院制と二院制があり、おおまかに分けると世界で3分の2が一院制で、3分の1が2院制です。

第二院に関しては、非公選が公選をはるかに上回っております。

つまり、日本の制度は世界的に少数派の二院制で、しかも非公選というかなり珍しい部類に入ります。

珍しいとは、世界各国で採用されていないことを指し、そのような制度が政治システム上安定よりも混乱をもたらすと理解されているからこその結果です。

”上院(第二院)は何の役に立つのか、それは下院(第一院)と一致すれば無用であるし、一致しなければ有害である”(A. シェイエス)という格言もあります。

これはほんとうにその通りで、”参議院が存在することのメリットを挙げてください”と言われたら私たち有権者のほとんどが答えられないと思います。

直接公選二院制が生まれた背景

日本国憲法を作成したのはGHQ(占領軍)ですが、本来は一院制であったところ、日本側の強い要求で二院制になったという話を聞いたことがあります。GHQにとってはどちらでもよかったのです。

必要なのは初期の対日軍事占領方針でもあったように、”日本が二度とアメリカに歯向かわないように、軍事的に骨抜きにする”(最大目的)ことであり、それ以外のことはほとんど考えていなかったのでしょう。

現行憲法案は、GHQの民政局ケーディス大佐(当時の現行憲法案作成チームの一人/法曹関係者でもある)らが1週間ほどで書き上げたものですが、

このケーディスに戦後日本人がインタビューをしたことがあります。

日本人が憲法9条など現行憲法の問題で苦しんでいると訴えると、ケーディスは”お前たちはまだあんなものを使っていたのか”と飛びあがるほど驚いたそうです。

このエピソードからも分かるように、GHQらは現行憲法を占領条例の一環(一時的なもの)として作ったのであり、それが日本でまったく恒久的なものになることなど想定していなかった。

これが現行憲法に存在する数多くの欠陥の全てに共通する理由です。

”ねじれ国会”現象を止めるには!?具体的な3つの方法

なぜ日本国憲法は直接公選二院制という極めて珍しい政治制度を採用したのかと聞かれると、当初からまったく精密に考えて作られたわけではないからというのが回答になるかと思います。

このねじれ国会問題を解決するためには、現行憲法第59条を改正すること(一つ目の方法)。

衆院での3分の2での再可決(第59条2項)ではなく、予算や条約承認(第60条、61条)のように、両議院で議決が異なった際は衆院の議決を優先すると改正することがまず一つ。

あるいは、両院制を定めた第42条を改正し、参議院を廃止(2つ目の方法)し、世界的にも多数派である一院制にすること(参院廃止論)です。

もう一つは、日本国憲法は無効であるとの法理論的に正しい見解に立ち、現行憲法を無効にし、明治憲法を復元させること(3つ目の方法)です。

旧憲法下では第二院は非公選なので、公選の第二院と違い混乱も起きにくいでしょう。世界的にも非公選が通常です。世界の潮流に合わせることになります。

※現行憲法無効論に関しては、ぜひ以下の記事もお読みください。

参議院は国会審議のじゃまとなる!?

第二院はまた国会での審議を遅らせる最大の要因のひとつでしょう。

現行の両院制(憲法第42条)では、衆議院と参議院と言うまったく同じ機能をもつ議院が二つあり、国会法第41条【常任委員会】の規定を見ても、両院とも全て同じ委員会(計17)を有しております。

国会法第56条【議案の発議と委員会付託】の第2項には”議案が発議又は提出されたときは、議長は、これを適当の委員会に付託し、その審査を経て会議に付する”とあります。

議案の提案件も参議院に認められており、ねじれ国会発生時は、野党の採る戦略としては、何でもいいのでひたすら議案を提出して、委員会に付託され、そこから本会議に持っていく。

野党が過半数をしめているねじれ国会時にはこれがスムーズに進みます。そうやって提出法案の飽和状態とさせて、与党や内閣の提出法案の審議の妨害を図ることだって可能です。

国会法第10条の150日ルールを悪用する野党

日本では、国会法第10条で”常会の会期は150日間”と決めており、また国会法第68条で会期不継続としています。

これは”会期中に議決に至らなかった案件は、後会に継続しない”ことを指し、自動的に廃案となります。

ねじれ国会時には、こういう与党や内閣の法案可決に対し、法律の範囲内で物理的に阻止することが可能です。

衆院こそ国民の政党選択、ひいてはその直近の政策支持の場であるのに対し、その与党・内閣の政策を少数派である野党が妨害する能力を与えてしまっているのです。

これは政治制度上の欠陥と言えるでしょう。

まとめ

結論として、直接公選二院制という世界的に見てかなり珍しい制度を採用しているという構造的な問題が、日本の国会運営をダメにしている。

その制度設計の責任は現行憲法にあるが、現行憲法はそこまで緻密に考えられて作られたものではない。占領軍が占領条例の一環として作ったものであり、その弊害が現在の日本の国会運営にまで及んでいる。

参議院の機能を変えるか、参議院を廃止するか、そのどちらかを選ばなくてはいけない。

もちろん国会議員にとってもこの問題は自明です。

しかし、安定した政治運営を妨害する参議院の機能を変えたり、参議院自体を廃止するという声が政党や議員側からあがってこないのはなぜでしょうか?

まさか”参議院が廃止となれば、自分たちが国会議員となる席/ポストの数が減るから困るんだ”と言いはしないでしょうね?(了)。

60秒で読める!この記事の要約!(お忙しい方はここだけ)

要約
  • ”自分たちの主張が受け入れられない限り、審議が不充分である”という野党の主張は、現行憲法が採用している多数決の原理を否定することになる。少数派の意見が通らないのが多数決の原理である
  • 『決められない政治』の代表的な要因の一つに”ねじれ国会”が挙げられる。ねじれ国会が生まれてしまうのは、参院では選挙の時期が決められないことに原因がある。また直接公選二院制自体が極めて珍しい制度だ
  • ”上院(第二院)は何の役に立つのか、それは下院(第一院)と一致すれば無用であるし、一致しなければ有害である”(A. シェイエス)という格言がある通り、参院の必要性など一般国民のほとんどが認識していないのが実情だ
  • 現行憲法はGHQが占領統治の一環として作成し、恒久的なものになると作成者である米国人自らも想定外のこと。精密に考えられたわけではない二院制は、現行憲法第59条を改正し参院の権限を制限するか、第42条を改正し参院を廃止する(参院廃止論)か、無効宣言を採択し、非公選の第二院の時代に戻るのかの3択しかない

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