【政治初心者向け】ねじれ国会とは！？どんな問題？解決方法あるの？

「ねじれ国会で、また国政が進まない・・・」

ねじれ国会とは、衆議院と参議院で第一党が異なることです。

日本では、２院制を採用していますが、参議院が衆議院とほぼ同じ権限を与えられています。

すなわち、ねじれ国家となれば、衆院で法案が可決されても、参院で否決されることになります。

衆院の法案再可決のハードルは厳しいので、なかなか法案が通らなくなり、「決められない政治」問題が発生します。

ようすうるに、２院ともに与党が過半数(≒第一党となる)を超えた議席を取らなければ、決められない政治となるということです。

ねじれ国会が起こす問題とは何なのか、なぜ発生するのか？外国でも同じような問題は起こっており、決められない政治は普遍的な現象なのか？参議院不要論も叫ばれる中、ねじれ国会の性質と解消方法に関しても具体的にわかりやすく解説していきます。

※この記事は、政治初心者の方向け、最近選挙権を得た新成人の方向けの記事です。もちろん、ねじれ国会についてもっと知りたいという方にもおすすめです。関心のある方はぜひお読みください。

あるべき国会審議とは！？与党の嫌がらせをするのが○○の使命？？

ねじれ国会の話題の前に、そもそも国会での審議とはいったいなんでしょうか！？

野党は反対理由として、「まだまだ審議が不十分だ」と声をあげます。

ですが、それならば「もう充分に審議を終えた」という状態にいつなるのでしょうか。

まさか「自分たちの主張が受け入れられない限り、審議が不充分である」という主張なのでしょうか。

その場合は、表決に関して、多数決の原理を採用した現行憲法第56条の改正を目指すべきでしょう。

たとえば、現行憲法第56条の2として、

国会で過半数を占めていない少数政党の法案修正意見・決議に関して特別な注意を払わなくてはいけない

などと付け加えるほかに、彼らの主張に正当性はないと思います。

しかし、与野党含め誰もそのような主張をしていないので、多数決の原理は否定するつもりはないと思われます。

ねじれ国会は、与党の言うことには何でも反対する野党。ただ嫌がらせをしたいという野党の政治的迷走をいっそう助長させてしまいます。

ねじれ国会とは！？参議院不要！？

ねじれ国会とは、二院制を採用する日本で、衆議院は与党、参議院は野党が議院の多数派(過半数)を占める現象をさします。これでは法案が通りません。

ねじれ国会とは決められない政治、野党の嫌がらせ、国会の迷走などと・・・まったくプラスの意味を持たないのも特徴のひとつです。

強すぎる参議院、、ねじれ国会発生は選挙の時期が原因

諸外国でも２院制を採用している国は少数派ですが、存在します。そして、第一院(下院)・第二院(上院)と区別し、第一院に実質的な機能を集中させているのが普通です。

イギリスでは第二院は貴族院であり、名誉職的な存在でありますね。

しかし、日本では、なんと第二院である参議院でも法案可決権が認められております。

一度参院で法案が可決した場合、ほとんどの場合、国会は法案を通せずに機能が停止します。

なぜなら、その場合、3分の2以上の賛成票が衆議院の再可決に必要となるからです。

驚くべきことに衆議院で与党が3分の2をはじめて超えたのは2005年です。最近では2012年、2014年、直近の2017年10月の衆院選など与党(自民・公明党)が3分の2を超えております。

しかし、2000年代に入ってからみられる現象なんです。衆院で３分の２を超えた議席を占めるというのは簡単なことではありません。

すなわち、ねじれ国会≒国会の機能停止。法案１つ通せなくなり、決められない政治となるということです。

ねじれ国会がたびたび発生する理由は、選挙の時期が関係しております。

衆議院は首相のイニシアティブでいつでも解散/総選挙に訴えることができますが、参議院は選挙の時期を選べません。

衆議院と違って、与党が都合のよい時に解散/総選挙が行えず、野党が参院において強くなる傾向が高いのです。

たとえば、与党議員のスキャンダルなど、与党に対する政治不信が高まっているときでも参議院では選挙を行わなくてはいけないのです。その場合、野党に投票しようという方が増えるでしょう。

直接公選２院制がそもそも珍しい(日本とアメリカくらい)？？

そもそも直接公選の二院制というのは日本とアメリカくらいで、世界的にきわめて珍しい政治制度であるということ。イギリスでは、第二院は世襲制の貴族がつとめております。

さらに、議院内閣制では一院制と二院制があり、おおまかに分けると世界で3分の2が1院制で、3分の1が2院制です。

かつ、第二院に関しては、非公選が公選をはるかに上回っております。

つまり、日本の制度は世界的に少数派の2院制で、しかも非公選というかなり珍しい部類に入ります。

珍しいとは、世界各国で採用されていないことを指します。

裏返しにみれば、そのような制度が政治システムに安定よりも混乱をもたらすと理解されているからこでしょう。

上院(第二院)は何の役に立つのか、それは下院（第一院）と一致すれば無用であるし、一致しなければ有害である（A. シェイエス）

という格言もあるほどです。

ほんとうにその通りで、「参議院が存在することのメリットを挙げてください」と言われたら、私たち有権者のほとんどが答えられないと思います。

参議院を廃止して、その議会運営費用、参議院議員のお給料など税金を、生活困窮世帯に配った方がよい税金の使い方ではないでしょうか。

あるいは、参議院を非公選にし、生活困窮世帯の方々や支援団体から議員を選び、それを国会の場で訴えてもらう。このようにしたほうが、もっと私たちの生活目線で議論がなされるのではないでしょうか。

衆議院もそうですが、参議院議員のキャバクラやクラブ通い、愛人や援助交際の報道を見るたびにそのように思えてしかたがないのですが・・・

直接公選二院制が生まれた背景とは！？

日本国憲法を作成したのはもちろんGHQ(占領軍)ですが、本来は1院制であったところ、日本側の強い要求で2院制になったという話を聞いたことがあります。

しかし、この要求はかんたんに認められました。GHQにとってはどちらでもよかったからです。

GHQにとって必要なのは、初期の対日軍事占領方針でもあったように、日本が二度とアメリカに歯向かえないように、軍隊をなくして、無防備状態にすること(最大の目的)であり、

それ以外のことはどうでもよかったからです。

現行憲法案は、GHQの民政局ケーディス大佐（当時の現行憲法案作成チームの一人/法曹関係者でもある）らが1週間ほどで書き上げたものですが、

このケーディスに戦後日本人がインタビューをしたことがあります。

日本人が憲法9条など現行憲法の問題で苦しんでいると訴えると、

ケーディスは”お前たちはまだあんなものを使っていたのか”と飛びあがるほど驚いたそうです。あんなものとは、もちろん日本国憲法のことです。

このエピソードからも分かるように、GHQらは現行憲法を占領条例の一部とし、一時的に作ったのであり、それが日本でまったく恒久的なものになることなど想定していなかったのです。

これが日本国憲法に存在する数多くの欠陥全てにあてはまる理由でもあります。

したがって、直接公選２院制というおかしな制度が出来たのは、現行憲法作成者の米軍がテキトーに作ったからです。また日本の第二院(参議院)の機能がおかしいのもそこに原因があります。

”ねじれ国会”をなくすには！？具体的な3つの方法

ねじれ国会問題を解決するためには、ひとつは現行憲法第59条を改正すること(一つ目の方法)。

衆院での3分の2での再可決（第59条2項）ではなく、予算や条約承認（第60条、61条）のように、両議院で議決が異なった際は衆院の議決を優先すると改正することがまず一つ。

あるいは、両院制を定めた第42条を改正し、参議院を廃止(2つ目の方法)し、世界的にも多数派である一院制にすること（参院廃止論）です。

もう一つは、日本国憲法は無効であるとの法理論的に正しい見解に立ち、現行憲法を無効にし、明治憲法を復元させること(3つ目の方法)です。

旧憲法下では第二院は非公選なので、現行の直接公選2院制と違い、そもそもねじれ国会という問題が起こりません。世界的にも非公選が通常です。世界の潮流に合わせることになります。

※現行憲法無効論に関しては、ぜひ以下の記事もお読みください。

参議院は国会審議の邪魔でしかない！？

もともと２院制という制度自体、国会での審議を遅らせる要因でしょう。

日本では、第二院である参議院の権限が強すぎるのでなおさらです。

現行の両院制(憲法第42条)では、衆議院と参議院と言うまったく同じ機能をもつ議院が二つあり、

国会法第41条【常任委員会】の規定を見ても、両院とも全て同じ委員会（計17）を有しております。

たとえば国会法第56条【議案の発議と委員会付託】の第2項には

議案が発議又は提出されたときは、議長は、これを適当の委員会に付託し、その審査を経て会議に付する

とあります。

議案の提案件も参議院に認められており、

ねじれ国会発生時、野党の採る戦略は、何でもいいのでひたすら議案を提出して、委員会に付託され、そこから本会議に持っていく。

野党が過半数をしめているねじれ国会時、これがスムーズに進みます。

そうやって提出法案の飽和状態とさせて、与党や内閣の提出法案の審議の妨害を図ることだって可能です。

国会法第10条の150日ルールを悪用する野党

日本では、国会法第10条で”常会の会期は150日間”と決めており、また国会法第68条で会期不継続としています。

これは会期中に議決に至らなかった案件は、後会に継続しないことを指し、自動的に廃案となります。

ねじれ国会時には、こういう与党や内閣の法案可決に対し、法律の範囲内で物理的に阻止することが可能です。

衆院こそ国民の政党選択、ひいてはその直近の政策支持の場であるのに対し、その与党・内閣の政策を少数派である野党に妨害する能力を与えてしまっているのです。

これは間違いなく政治制度上の欠陥であり、ねじれ国会がなんのメリットもない問題事項として語られるのは当然でしょう。

まとめ

ねじれ国会を生むのは、直接公選2院制という世界的に見てかなり珍しい制度が原因。ねじれ国会以外にも、いろいろな点で日本の国会(立法府)を機能不全にしております。

その制度設計の責任は現行憲法にありますが、現行憲法はそこまで緻密に考えられて作られたものではありません。

占領軍が占領条例の一部として作った一時的な性質のもの。その弊害が現在の日本の国会運営にまで及んでいることになります。

参議院の機能を変えるか、参議院を廃止するか、そのどちらかを選ばなくてはいけません。

もちろん国会議員にとってもこの問題は自明です。

しかし、安定した政治運営を妨害する参議院の機能を変えたり、参議院自体を廃止するという声が政治家からまったくあがってきません。

まさか「参議院が廃止となれば、自分たちが国会議員となる席が減るから困るんだ」ということではないと信じたいのですが・・・(了)。

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