兵庫県知事選が11月17日に決まりました。全国民が注目する中、争点となるのは「パワハラ」です。
日本にはパワハラ防止に関する罰則がなく、斎藤前知事含む自治体の首長、大企業の経営者らのパワハラが野放し状態。
全国に先駆け、兵庫県議会にはパワハラ防止条例を作るべきでしょう。国の法律を逸脱してはいけませんが、国法よりも条例の方が罰則が厳しいものもあります。
地域によって罰則が厳しくなるのは自然なこと。兵庫県では、明石市の泉房穂元市長含め、残念ながらパワハラに対する県民の意識が低すぎる。
元県民局長の死を招いた事実を重く受け止めると同時に、全国中をこれだけ騒がせた責任があります。パワハラ罰則化に取り組む方こそ、次の兵庫県知事になるべきではありませんか。
こちらの記事では、兵庫県知事の候補者を紹介していきます。
※今回の兵庫県知事選、出直し選挙に至った過程はぜひこちらの記事をご参照ください。時系列的にまとめております。
パワハラは「適切な指導」と開き直る斎藤元彦氏
斎藤前知事に関してはもはや語るべきことがありません。出直し選挙をしたいのであれば、不信任決議が可決されるまでに決断すればよかった。にもかかわらず、
「いや、もし私が議会解散をしたら、維新の会の県会議員は困るだろう。大半が1年生議員。維新フィーバーで受かった人達。不信任決議など出せないんじゃないか」と調子の良いことを考えていた。
元県民局長を自死に追い込んでも罪悪感などなく、「道義的責任などわかりません」と一言。冷たい姿勢です。
県民からの連日連夜の抗議の電話は無視する一方で、実在するかも怪しい高校生の手紙を値千金のごとくに取り上げて、
「ほれ見たことか!ぼくは必要とされているんや!」と出直し選挙を決意したと語る。自分の都合の良いことだけは耳に届くようです。この点の問題点は後述します。そんな齋藤氏でしたが、
SNSのインプ稼ぎで、9月半ばごろから「#斎藤知事頑張れ」がXに出てきて以来、どうも勢いを取り戻したようです。
インプ稼ぎ以外にも、反マスコミの姿勢が大好き。バズりたい。斎藤前知事擁護でネットミームを起こしたい。ダークヒーロー好き。理由はいろいろとあります。最近ではNHK党の立花孝志氏も乗っかってきた。もうお祭り状態。
冒頭でパワハラが争点の一つになると主張しましたが、斎藤氏は例外です。パワハラなど他の首長もしているではないかと、涼しい顔です。
「20m歩かされただけで職員を怒鳴り散らす」「ものを投げつける」「お前はエレベーターのボタンも押せないのか」というパワハラ行為は、斎藤氏自身も百条委員会等で認めています。
SNSの声「斎藤氏はパワハラをしていない」という主張は無理があるでしょう。
ホテルで「俺は知事だぞ」と職員を怒鳴りつけ、おびえた秘書課が直接会場と掛け合って、無理やり夕食を準備させていたという証言も。一方で、
斎藤前知事は天下り斡旋に厳しい態度を取ったと功績を評価する声もありますが、実態は違います。県職員の再就職を斡旋する「兵庫県退職者人材センター」が設けられ、なんと天下りを積極的に斡旋していたことが分かっております。
令和4年7月末~6年6月末までの直近2年間で91人中74人が天下り。約81%が天下りしていました。斎藤前知事が県庁職員の天下り規制をして、恨まれてクーデターというのは全くのでたらめです。
県庁職員に恨まれていたのは、斎藤前知事が県庁職員に恒常的に罵声を浴びせ、やりたい放題だったことが原因です。7/10には兵庫県職員労働組合から異例の辞職要求を突き付けられました。
斎藤前知事は厳しい叱責と主張しても、周りから見ればただのパワハラです。れいわの大石氏が「自民党は裏金、私はただの”不記載”だ」と主張しても相手にされないのと同じです。
ネット動画で有権者にペコペコしている映像を見て、「ほんとはいい人なんだな」というのは牧歌的過ぎませんか。どんな悪徳政治家も有権者の前では愛想がいいものですよ。
斎藤前知事は行財政改革に強いというのも、首を傾げます。
行財政改革に対する一般的なイメージは「利権構造に絡めとられ、天下りの温床となっている無駄な公共事業をバシバシと削減していく」というものではないでしょうか。
ですが、斎藤前知事は令和4年3月の兵庫県県政改革方針で示されているように、「スクラップに重きを置く歳出削減型の改革ではなく、事業内容の効率化(ビルドと表現)を重視した改革を」すると明言しています。
残念ながら、無駄な事業をバシバシ削減していきますよというスタンスではまったくありません。
確かに令和5年度末の財政調整基金残高(災害など不測の事態に備える積立金)が127億円で、約30年ぶりに100億を超えました。ですが、斎藤前知事が就任して以来、県税が過去最高額を更新。無駄な事業を削減したのではなく、単に税収が増えただけ。
地方税も上がり続けています。中でも固定資産税。3年ごとに地価を反映して決まりますが、兵庫県は地価が上昇し続けています。2024年は固定資産税の評価替えの年なので、今後も伸び続けるでしょう。
固定資産税は斎藤前知事が決めることではないので、誰が県知事になっても県税は上がります。
一方、悪名高い朝鮮学校への補助金は全国トップクラスの規模で続けております。大阪府では橋下前府知事が2011年に全面中止、維新の支援を受けた斎藤県政でも中止を期待されましたが、継続し続けています。
なんとなく行財政改革に強いと思い込むのではなく、ファクトに基づいて評価すべきだと思います。
一応、斎藤氏の政策を自身のHP「さいとう元彦の政策 兵庫の躍動を止めない!」から何点かご紹介します。
・子供の遊び場充実プロジェクト(ふわふわドームと室内遊び場の充実)
・子育て世帯向けの県営住宅を増やす(10年間で約1000戸増を目指す)
・特殊詐欺被害対策課の創設(高齢者の暮らしを守る)
・コンパクトな県庁舎再整備(事業費1000億円を実質半分程度へ)
・ハラスメントのない組織風土づくり
他の候補者同様、「○○の充実」「○○を目指す」とか、ぼかして政策集を書くのは今の政治家のトレンドです。県庁舎再整備も「半分程度へ」とありますが、「○○へ」は一応の目標。やはり無理でしたと言い訳できます。
私は斎藤氏だけを責めるつもりはありません。他の候補者の政策もけちょんけちょんに叩きまくっていますから。
具体的に「○○と言う天下り斡旋組織を来年の〇月までに潰します」と言ってこその政策。こんなんでコロッと騙されるわけにはいきませんよ。
特に、「ハラスメントのない組織風土づくり」は何かの冗談でしょうか。ただ言いっぱなしだけではダメ。具体的にパワハラ防止条例を罰則付きで作ると主張しない限りはダメ。小学校の学級目標じゃないんだから。
本当におかしいですよ。斎藤氏自身は「自分はパワハラをしていない。厳しい叱責である」と主張しているんです。なのに、なぜ「ハラスメントのない組織風土づくり」なんですか。
語るに落ちたりとはまさにこのこと。申し訳ないが、失笑を禁じえませんね。
※高校生のお手紙も苦言させていただくと、公的な場で知事本人が言うことではありません。高校生が特定されることの危険性、昨今のXを代表とするSNSでの過激なバッシングは斎藤知事本人が最も自覚しているはず。なぜそっと自分の胸にしまっておけなかったのか。まさにクロコダイルの涙。
パワハラ証券業界出身 元尼崎市長の稲村和美氏
経歴を簡潔にご紹介しますと、神戸大卒業後、SMBC日興証券の営業職。よほど成績がよかったのでしょうか。2年半で本社の人事部に異動。
もうこの時点で、今回なぜ彼女が出馬してきたのか、首を傾げたくなります。
証券会社はバリバリの代表的パワハラ業界。その営業職で好成績を取った方が、パワハラが争点となる今回の兵庫県知事選に立候補するのは違和感を覚えます。
証券会社退職後はすぐ政治家へ転身。2003年から2010年まで兵庫県の県会議員。無所属市民派・1人会派の議員とHPには掲載していましたが。後述しますが、実際はそうではない。
2010年には尼崎市長に鞍替え。現職市長の推薦もあり見事に当選。当時の現職市長は白井文(あや)氏。稲村氏は、尼崎女性市長・白井氏とは以前から仲良しで、
白井氏が尼崎市長に初当選した2002年。稲村氏は選挙スタッフでした。白井氏は日本共産党、市職員の労組の支持を得て、自民含む他の野党らが一丸となって推した候補者を打ち破り当選。
白井氏の子飼いである稲村氏も、元々は日本共産党と距離が近かったんですね。
ですが、2018年の尼崎市長選では一騎打ちとなり、対立候補が日本共産党/尼崎地区/委員長代理である流目茂氏。この時点で日本共産党とは一定の距離が出来ていたと思います。
2018年の尼崎市長選の投票率は過去最低更新の24.71%で、稲村和美氏もたったの7万2千票で当選。ちなみに前回の兵庫県知事選での斎藤知事の得票数は約80万票。まったく規模が違います。県知事選を戦えるだけの基盤があるのか、不明です。
現状でのつながりは不明ですが、2018年尼崎市長選は緑の党グリーンズジャパンの選挙支援を受けていました。
緑の党の政策を簡単に並べると、「脱原発」「沖縄の米軍基地反対」「9条堅持し自衛隊削減(災害救助組織にする)」「外国人への地方参政権賛成」「特別永住者のあらゆる権利を日本国民と対等」にする。
特別永住者とは在日朝鮮人であり、日本国民と対等にするとは、国政参政権を与えよという大胆な主張です。緑の党のHPには、一般永住者には地方参政権でよい。が、在日は国民同等の権利を与えよ。
彼ら緑の党グリーンズジャパンの基本政策は行き過ぎていると思います。
2022年の3期で尼崎市長を退任。4期目は立候補すらしませんでした。2022年6月に兵庫県尼崎市で全市民約46万人の個人情報を含むUSBメモリーの紛失事件があり、簡単に説明すると、
尼崎市が業務委託した情報システム会社の会社員が泥酔してUSBメモリーを紛失。その後、無事に見つかりました。
尼崎市自らも情報セキュリティにおける市のチェック機能の不備を認めております。USBの使用も禁止されました。稲村氏は「退任はUSBメモリー紛失とは関係がない」と主張していますが、
もし関係ないのであれば4期目も続けたはずです。あるいは国政への転身。何のプランもなく退任しないでしょう。今回、兵庫県知事選に立候補したわけですから、政界を引退したわけでもありませんでした。
繰り返しますが、自衛隊を削減し、災害救助組織にしてしまえ。在日朝鮮人に国政参政権付与含めた、日本国民と同様の権利を与えよ!と主張する緑の党グリーンズジャパンからの選挙支援を受けるのかは現時点で不明です。
外国人に参政権を与えるなどと、県知事ごときにできる政策ではありませんが。ご本人は、もう緑の党とは縁切りしているのか知りませんが、そういう団体と交際していた候補です。その点は認識しておくべきでしょう。
稲村氏は、立候補者の中で唯一、真正面から斎藤前知事のパワハラを受け止めている候補者。ここだけは立派です。
再発防止策として、知事などの特別職、議員を対象にしたパワハラ防止条例を制定するとHPにも記載があります。この点だけは評価してもいいでしょう。他の候補者はパワハラから逃げているんですから。
基本的に、他の候補者と同様に耳障りの良い抽象的な政策集を並べ立てるだけです。一応、彼女のHPの新しい兵庫に向けた30アクションからいくつかご紹介します。
・若者が県政に参画する「若者による兵庫未来委員会」(仮称)を創設
・兵庫県の五国の自然や文化など多様な資源を生かした観光や特産品づくりを推進
・医師の地域偏在・診療科偏在の解消に取り組み、県内全域での医療体制を底上げ
・地震、風水害、感染症等との「複合災害」への対策や広域避難など災害への対応力を強化
・将来負担比率が全国ワーストの兵庫県。対話と信頼により行財政改革を推進(県外郭団体は統廃合を含めゼロベースで見直し)
医師の地域偏在、診療科偏在など、どうやって解消するつもりなんでしょうか。若い医師は美容整形外科に行きたがります。一番お金が儲かるから。県知事ごときがどうにかできる問題じゃない。
また、災害への対応力などは自衛隊に頼るしかない。緑の党とつながっている可能性がある首長にも協力させられる自衛隊員はさぞや嫌な気持ちでしょう。
県外郭団体はゼロベースで見直しをする。これだけは「よく言った!」と思います。しかし、稲村氏も県の天下り斡旋組織である「兵庫県退職者人材センター」を廃止するまでは主張できていない。どこまで腹が据わっているんですかね。
再発防止のため、パワハラ防止条例を制定すると主張しているのは、現時点で彼女だけです。いったいパワハラ証券業界出身の彼女が、どんな防止条例を作るのかはわかりませんが。
日本共産党の推薦 医師で新人の大澤芳清氏
医師の大澤氏は9月7日、神戸市で記者会見。次の兵庫県知事選挙に共産党の推薦を受けて無所属で立候補する意向を表明しました。大澤氏は、大阪・岸和田市出身の61歳。
憲法を暮らしに生かす兵庫県政の実現をめざし活動し、協会も運営に参画する「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」(憲法県政の会)の協会理事で、もうこの時点で護憲派なのだろうと思います。
最近の若者は共産党を知らなすぎるきらいがあります。共産主義とは、階級闘争を激烈に展開し、「お前は階級の敵だ」と言えば、仲間内でも殺す。恐るべき殺戮主義、暴力至上主義の世界です。
もう半世紀も前ですが、1972年、連合赤軍が起こしたあさま山荘事件。十数人のメンバーが総括と言う名のリンチで、仲間内で処刑されていきました。
たとえば、髪の毛が長い、化粧をしている。他にも、言葉遣いがブルジョワ的だと仲間内でつるし上げられ、本人は自己否定させられ、女性であろうが自分で自分の顔を変形するまで殴り続ける。
メンバーのリンチで1か月半で12人が殺される。残ったメンバー5人があさま山荘に立てこもり、人質を取り、警察と銃撃戦。警察官は2名死亡。これが共産党です。
日本共産党は、連合赤軍とは無関係と恥知らずにも強弁していますが、間違いなく彼ら連合赤軍は共産党の一派。共産党の武装闘争路線を最も忠実に継承した手ごまです。
今でも共産党支持者からいろいろな援助を受けて生活していますよ。共産党はこういう組織であることを正しく理解すべきです。日本の国益よりも、かつてのソ連、今ではシナ・朝鮮の利益をこそ優先する売国勢力です。
日本の一般的な中高年世代が共産党に良い顔をしないのは当然です。こういう団体が戦後日本に居続けていることこそ異常だと思います。
今回、担ぎあがれられた医師の大澤氏は、「医療・介護体制の充実、18歳まで医療費無料が政策の重点」と主張しています。共産党兵庫県委員会が発行した兵庫民報を確認すると、
・斎藤前知事は「内部告発した職員をうそ八百と非難」した。自由にものが言えない県政になっていると指摘。
・斎藤県政をゼネコン優先と批判。環境壊して、民家・学校などに立ち退きを迫り、播磨臨海地域道路に6千億円。一方で、年145億円でできる学校給食費無料はやらないと痛烈。
・子育て支援3つのゼロ。小中学校給食費ゼロ、18歳まで医療費ゼロ、2歳まで保育料ゼロ。
中小企業を支援して最低賃金時給1500円以上にとか、大軍拡をやめさせるとか、果たして県政レベルでどうにかなるのかなと首を傾げる政策も盛りだくさん。
今回の知事選の争点である、パワハラ防止には一言も触れておりません。「自由にものが言える県政」をどのように実現するのかナゾです。
財源に関しても一切語らず。斎藤前知事含め、すべての政治家のお家芸です。財源を明示せずに、調子のよいことばかり並べる。
大澤氏は、県民主医療機関連合会会長・尼崎医療生協病院院長という肩書を持つ。もうこの時点で、「俺は院長だぞ。一般庶民が俺様に逆らうな!」という印象を受けますね。
病院の院長先生など、パワハラの代表格ではありませんか。大澤氏はパワハラ防止には興味がなさそうですね。
維新から擁立された参院議員の清水貴之氏
経歴を紹介しますと、早稲田卒後。朝日放送アナウンサー。その後フリーアナウンサー。2013年7月、兵庫選挙区より参議院議員に初当選し、現在2期目。維新の会所属の国会議員。
元々は衆院選兵庫8区に出馬予定だったところ、急遽、日本維新の会から担ぎ出されたという感が否めません。本人から出馬したいとの意向があったと報道もありますが、どうかなという印象です。
日本維新の会の兵庫県議会は、斎藤前知事が議会を解散するのではないかと常に戦々恐々していました。もし解散となれば、1年生議員のほとんどが落選、死屍累々となるのは目に見えているからです。
出馬表明でも「兵庫県を何とか立て直していきたい」など、まったくのノープラン。そもそも衆院選から出馬する予定だったんですから、ムリもないでしょう。日本維新の会のメンツのためにだけ出馬した。そんな印象です。
政策に関しても、ウェルビーイング日本一、観光名所にするとか、斎藤前知事と代り映えしない路線です。東京都の小池都知事並みの政策です。ともかく「〇〇の推進」「○○の促進」ばかりです。一例をあげると、
・地元企業との連携を通じたインターンシップ等の職業訓練プログラムを拡大し提供することで、兵庫県内での働く場所と働き手の確保を推進。
・テレワークやフレックス勤務の導入を促し、子育てと仕事の両立が可能な働き方を推進。
・環境負荷を抑えたエコツーリズムや地域資源保護を踏まえた観光振興を推進。
・男女共同参画、障がい者雇用や高齢者など、多様な人材が活躍できる地域社会づくりを推進。
・多世代が集うコミュニティセンターや「じいじばあばの子ども食堂」を設置し、人々の交流を促進。
参照元は、ひょうごリスタートという清水氏のHPです。ご興味がある方がいましたら、ぜひ。
正直言って、見る価値はありませんが。上記でご紹介した「コミュニティセンター」設立とは何でしょうか。また県庁職員の天下り斡旋組織、外郭団体(ハコモノ)でも作る気なんですかね。
ですが、清水氏だけじゃありません。斎藤氏、稲村氏の公約も似たようなもの。東京の小池さんもそう。推進、促進、充実化と謳っておけば、いくらでも達成・着手したと言い逃れることができる。
こういう小手先の技術というか、小技ばかりが得意になっていきますね。日本の政治家ってやつは。困ったものです。
ですが、清水氏の甘さは、反・斎藤路線を打ち出し、対決姿勢を見せていかないと当選は難しいことを自覚していない点。
所詮は、政党におんぶにだっこの政治家。これでは選挙戦を戦っていくことはできないと思いますね。
明石市在住でレコード会社経営の福本繁幸氏
福本氏は前回の都知事選にも出馬。約3200票を得票。レコード会社経営者としてメディアに紹介されましたが、もともとは整骨院の先生です。
国立身体障害者リハビリテーションセンターのあん摩マッサージ指圧鍼灸科を卒業。平成10年4月に開業もされています。ですが、平成10年9月にはレコード会社、音楽出版社設立へ。令和元年には音楽事務所開設とHPに記載を見つけました。
前回の都知事選公約では、震災復興及び防災対策として、周辺の地方自治体との助け合いマニュアルの整備が必要。若い政治家及び起業家の育成。
また生活困窮者の就労支援及び生活支援の充実、医療業界の夜勤など超過労働の軽減、教育機関での学生及び職員へのパワハラ行為に対する法的な支援など。
今回の知事選では、「県政の停滞を元に戻したい。上からではなく、下に立って職員を押し上げたい」とのこと。
他の候補者同様、斎藤前知事は兵庫県職員からも辞職要求を突き付けられ、県議会からも不信任決議を可決された。よって、斎藤さんでは県政を担えないでしょうというご主張。
理解できますが、その理屈の範囲内で考えれば、代わりの「誰か」は福本さんでなくてもいいわけです。
唯一気になるのは、前回の都知事選でもナゾだったんですが、「学生及び職員へのパワハラ行為に対する法的支援」を挙げていたこと。
まさに今回の兵庫県知事選ではパワハラ対策が争点です。いや、争点にしなくてはならないんです。
その点も含め、選挙公報からいくつか気になる政策を拾ってみると、
・若者支援として、メンター制度の導入や企業支援プログラム
・障碍者支援として、バリアフリー環境の整備
・シニア向け雇用創出やいきがいづくり
・パワハラ対策、カスハラ対策
・若者と高齢者を取り残さない施策として、AIマッチング機能を活用した、若者と高齢者がともに取り組める活動やボランティアの機会を作る
まったくダメですね。パワハラ対策とは具体的に条例を作ることではないのか。社会で「○○はやめましょう」と掛け声を上げれば解決するのか。それとも法的に取り組まないといけないレベルなのか。
現状、後者でしょう。福本氏は状況認識能力に欠けている。シニア向け雇用創出と言いながら、一方ではボランティア活動の機会を作る。
「まあ若者と高齢者対策を掲げていれば、公約はこんなものでいいだろう」というのが見え見え。メンター制度導入など、もうやれやれですね。必要とする若者が兵庫県内に何人いると想定しているのか。ぜひ聞いてみたいもんです。どの政策もお話にならないレベル。
「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏
都知事選ではN党から24人もの候補を出し、選挙の掲示板ポスターを占拠し、物議を醸しました。狙いは、選挙の掲示板ポスターは無意味であるからやめるべきだという主張を世間に周知させるため。
目的のためなら手段を選ばない政治家。都知事選で見られた泡沫候補者のように、売名目的での選挙戦を展開することを商売としている節があります。
私としては、「NHKから国民を守る」という理念は素晴らしいので、その路線を維持し、ふらふらしないでほしいものです。
今回も当選することは目的ではない。マスコミから徹底的に叩かれている斎藤元彦前知事に同情し、応援するために選挙入りした。
であれば、応援弁士または選挙スタッフとして、裏方での協力が自然なのですが。NHK党の宣伝も目的にあるのでしょう。
立花氏は、元県民局長が県庁内職員の女性との卑猥な不倫動画を公用PCに保存しており、その動画が百条委員会で公開されるのが嫌で、自殺したという説を展開しております。
元県民局長の私的なスキャンダルの事実の是非はともかく、斎藤前知事が「20m歩かされて職員を怒鳴り散らし、怯えさせる」等の行為は実際にあったわけです。
ですが、立花氏は「俺と同じように、マスコミから叩かれている奴はお仲間。守るんや」とあまりにも単純な思考をしてみせる。
立花氏が目を付けたように、この事件は兵庫県だけの問題じゃない。全自治体を含め、パワハラを許すか、許さないかというのが争点。
もしこのまま斎藤前知事が再選されれば、「お役所もパワハラを認めたやないか」と日本の労働環境の悪化に歯止めがかかりません。だからこそ、斎藤前知事をこのまま再選させるわけにはいきません。
斎藤前知事も”厳しい叱責”(パワハラ)をした事実を認めています。「もし次にパワハラをしたら政界を引退する。パワハラ防止条例を作る」と言わない限りは、斎藤前知事に投票は出来ない。
立花氏は「斎藤前知事の応援で立候補した。斎藤前知事の改革を止めさせてはいけない」と主張。ですが、立候補した限りは、立花氏に投票する人も出てくるでしょう。
やはりNHK党の売名行為か。斎藤前知事からすればいい迷惑かもしれませんね。応援弁士すら断られたため、自分も立候補した。事実はそんなところかもしれません。
立花氏には別の思惑もあるのかなと考えております。彼は何よりも結果を優先する政治家。もし斎藤氏が再選されれば、兵庫県議会はプライドにかけて不信任決議をもう一度通す。
その際は、今度こそ斎藤氏は議会解散をする。となれば、NHK党が全86議席すべて候補者を擁立し、兵庫県議会を占領する。この兵庫県議会を基盤にし、維新の会が大阪でしたみたいに、来年の参院選で兵庫の全取りを狙う。
これくらいの打算をしていると思います。まあ結局は党利党略。これくらい考えているでしょうね。考えていなければ、党首の器でもありませんが。
ニュース分析会社社長の木島洋嗣氏
リクルート社員を経て、コンサル会社経営。またしても泡沫候補、売名候補の登場にうんざりさせられますね。
本気で兵庫県知事選を戦いたいんであれば、土壇場の10月29日に出馬表明するなんて遅すぎる。場当たり感がぬぐえない。本気で知事選に挑む気があるとはまったく思えません。
「斎藤さんの改革路線は賛成。県立大の授業料無償化などは続ける」(神戸新聞10/29)とも。だったら、立候補してくるなと言いたいですね。
他にも、大阪と兵庫を合併する「関西州構想」とか、馬鹿なことを主張しています。こんなもの、兵庫県だけで決められるような話ではない。大阪の人間にもいい迷惑でしょ。
これまでの選挙実績は、2023年の神戸市会議員選挙に出馬し536票を獲得。直近では2024年10月の衆院選で兵庫1区から無所属で出馬。最下位の1914票を獲得。ちなみに、当選者は9万票。ビリから2番目の候補者でさえ1万票余り得票。
どうせ泡沫候補として出馬するのであれば、ある程度は覚悟を決められてはどうか?
「パワハラ防止法を作る。今回の県知事選はパワハラが争点だ」とのたまい、斎藤前知事と対決姿勢を取り、徹底的に戦う姿勢を取らなくては票が集まらない。
木島氏の政治思想は不明ですが、今回の県知事選は泡沫候補者にとってチャンスなんです。自民党を支持する保守層、特に高齢者層は斎藤前知事を嫌っている。一番人気の稲村氏は極左政党。自民党の兵庫県議も本心では応援したくない。
だからこそ、木島氏は保守という旗幟を鮮明にし、パワハラ防止法を条例で作ることを訴え、高齢者層に呼び掛けていく。そういう戦略を取れば勝てる見込みがある。
にもかかわらず、斎藤前知事の路線を継承すると言ってしまう。彼はいったい、どの年齢層、どういう政治的思想の有権者から票を得たいと考えているのか。木島氏に助言してくれる選挙アドバイザーはいないのか。
木島氏の選挙公報を確認すると、
・兵庫県庁は不要。関西州構想で兵庫県と大阪府が合併するのだから、現在の大阪府庁を利用すればいい。
・人口規模で東京を抜けば、企業の関西進出も進むはずだ。
ひとこと、彼の出馬は単なる売名行為。選挙公報も関西州構想しか記載がありません。有権者を舐めているとしか思えない。
他の候補者も一応、「公約のための公約」を掲げて、「うわっつら」だけは整えているんです。その努力さえ放棄している。
コンサル会社を運営しようが、選挙戦にはド素人。数回目の出馬なのに、”はじめてのおつかい”を何回繰り返せば気が済むのでしょうか。彼は選挙コンサルを雇った方がいい。他に言うことはありません。
まとめ
結論。投票できる候補者はゼロです。主要候補の政策集も一通り目を通しましたが、ほとんど同じです。教育無償化、出産・子育て費用支援、観光収入増、防災都市作り、など。
この辺りから「○○への推進」「○○を目指す」と作っておけば、それなりの「外見」のものは出来上がります。そんなことよりも、今回の兵庫県知事選の争点は、パワハラか、パワハラ以外か。
他の首長もやっているんだから別にいいじゃないかとパワハラを肯定するのか、それとも、パワハラを否定し、パワハラ防止条例を作って再発防止に努めるのか。ここが争点なんです。
残念ながら、パワハラ証券業界出身の稲村和美氏のみが、現時点でパワハラ防止条例制定を公約に掲げております。本来であれば、斎藤氏以外の全候補者が確約する必要があるのですが。
※一応、斎藤氏も「ハラスメントのない組織風土づくり」という冗談にしか聞こえないものを掲げてはいますが。本人はパワハラをしていないと主張しているのに、何をかいわんやと思いました。
兵庫県には前例があります。パワハラで辞職して出直し選挙、それで成功した元明石市長(兵庫県)の泉房穂氏のような男がいる。だから、斎藤前知事みたいなのが出てきます。
「パワハラなんかどこの自治体の首長もやっている。俺だけじゃない」という斎藤氏のお気持ちもわかります。が、県職員を一人自死にまで至らしめ、全国的にここまで問題となった。
皆がやっているからといって自分の非がなくなるわけじゃない。斎藤氏の出直し選挙(開き直り選挙)に関してはもちろん出ればいいと思います。本人の自由です。
ですが、明石元市長のように、今回も無罪放免でお墨付きを与えて自治体の首長の座に戻すのはどうでしょうか。
私はパワハラは厳罰化して止めさせるべきですし、日本のパワハラブラック企業と言う社会文化も根治しなくてはいけません。旧日本軍の組織文化をそのまま移植した戦後日本企業。
旧日本軍を否定するくせに、戦後日本企業を否定しないのはダブルスタンダード。ここで「けじめ」をつけるべきではありませんか。
必ずパワハラ防止法を厳罰とともに制定し、戦前からの悪弊を断つ。そこまでの人物は出てこないとは思いますが、またいい加減に済ませるのだけは止めてほしいです。
※9月から突如として現れたX(旧ツイッター)での「#さいとう元彦がんばれ」現象はこちらで解説しております。よろしければこちらもご参照ください。
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