斎藤元彦兵庫県知事の「完全勝利」元局長の自殺でパワハラ疑惑は闇の中へ

政策争点
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2024年3月中旬。兵庫県職員の告発文から発覚した、兵庫県の斎藤元彦知事の悪質なパワハラ疑惑。

内部告発者の「嘘八百」と斎藤知事が一蹴。その後の杜撰な内部調査でも否定され、いったんは事件が「解決」しました。

ですが、兵庫県議会のとある議員が職員の内部アンケートを独自に行ったところ、斎藤知事の「実態」が表面化。「職員に対し怒鳴り散らす」「20メートル歩かされただけで大激怒」「おねだり体質」すべて本当のことであった。

※兵庫県議会のとある議員は、無所属の丸尾まき議員とのこと。

議会側も6月に百条委員会を設置し、内部告発をした当事者、元兵庫県西播磨県民局長を証人として出席してもらうことに。

その矢先の7月7日、なんと親戚の方のご自宅で元県民局長が自殺。SNSでは「他殺の可能性はないか?」「百条委員会の証人尋問ですべてを明らかにしたい。そのように覚悟を決めていた方がなぜ?」などと一気に全国規模のニュースに。

斎藤元彦知事がいまだに「あれはパワハラではない」と認めない。7/10の記者会見においても「辞職はしない」と明言。もう至る所で炎上しまくっております。

SNSでも知事への退職要求、7月9日には兵庫県職員労働組合が知事に辞職を求める方針を表明。これまた前代未聞。公務員の労組が首長に辞職要求なんて聞いた事がありませんね。

もうちょっとありえない事態の連続です。今回は、この事件に関し、パワハラ疑惑の真相、内部告発者の元県民局長の死の真相、今後のあるべき方向性に関してまとめてみました。

事件の概要

事の発端は、2024年3月中旬に、退職を前にした元県民局長が報道機関に「告発文」を送付したことにはじまります。

3月27日、斎藤元彦兵庫県知事は激怒。「事実無根」「誹謗中傷」「仕事中にこんな告発文を書きやがって」「お前は公務員失格だよ」「名誉棄損で訴えてやるぞ」と。

その後、5月7日、見せしめのごとく、退職させずに、元県民局長に3か月の停職処分。懲戒処分ですね。停職が明けたのちは、懲戒免職。そうなれば「しめしめ」でしょう。退職金も出ませんからね。

5月上旬の斎藤元彦知事の計画では、「なんとかこいつを懲戒免職にしてやる。退職金を出さずに、加害者として追い出してやる。俺に逆らいやがって。痛い目を見せてやるぞ」という作戦であったと思います。

が、事態が急変したのが5月15日。兵庫県議会の1人の議員(丸尾まき議員)が県職員へアンケートを実施したのです。アンケートでは「パワハラがあった」と複数回答が。

5月21日、斎藤知事は第三者委員会を設置すると決定するも、疑惑を否定した内部調査が「知事のお友達」の弁護士らで「作成」したものであったことが判明。もう斎藤知事に対する信頼などありませんでした。

6月7日、斎藤知事が「少しは反省しているよ」と表明しましたが、もう遅きに失しました。兵庫県議会の定例会にて6月13日百条委員会の設置が決定されたのです。

※この百条委員会の設置も、最大会派である自民党が「党内紛糾」を抑え、ようやく設置にこぎつけたもの。第2会派、第3会派である維新の会、公明党は反対。かろうじて設置が決まりました。

(百条委員会とは)自治体の事務に関して疑惑や不祥事があった際、事実関係を調査するため、地方自治法100条に基づいて地方議会が設置する特別委員会。関係者の出頭や証言、記録提出を求めることができるなど強い調査権限を持つ。虚偽の証言をした場合は5年以下の禁錮刑、正当な理由がないのに証言を拒否した場合などは6カ月以下の禁錮刑や10万円以下の罰金を科すことができる。

朝日新聞 トピック 百条委員会https://www.asahi.com/topics/word/%E7%99%BE%E6%9D%A1%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A.html

斎藤元彦知事のパワハラの実態

①ある出張先で施設の入り口の20m手前で斎藤知事が公用車を降ろされたとのこと。車が入っていくことができない道路事情のためですが、斎藤知事は職員らを怒鳴り散らした。

②高級コーヒーメーカーを視察先で贈呈された件。その場では辞退したものの、後日送るように指示。「みんなが見ている前で受け取れるわけないやろ」と、秘書課に送るように指示した。斎藤知事は「そういった指示はしていない」。しかし「返却する指示を受けたにもかかわらず返却を怠った」と、後に担当部長に訓告処分。ものすごい他責思考ですね。

斎藤知事の「おねだり体質」は兵庫県庁では有名であり、上記の事件は氷山の一角でしょう。他にもまだまだありそうです。というか、贈収賄罪ですよね。うーん。

③兵庫県のプレミアム付きデジタル商品券「はばタンPay+」の第1弾のポスター・チラシに、自分の顔写真がないことに斎藤知事が激怒。政治家は常に顔を売ることに必死。この件に関しては、他の自治体の首長も同様か。

ともかく、斎藤元彦知事は「すぐにカッとなり怒鳴り散らす」らしいです。セクハラ、パワハラがダメという声が上がり始めたのはここ20年ほど。そういった風潮を変えていくため、お手本を示す存在である兵庫県知事がこの調子とは何事か。

2017年、兵庫県の明石市において、元明石市長の泉房穂氏の「お前、火つけてこんかい」という職員に対する暴言、パワハラもついこの間。2019年1月にパワハラが発覚したものの、2019年にも出直し選挙で当選。その後も2020年に「お前、議員辞めてまえや!」とか暴言は止まらず。2022年10月に退任表明。もう二度と選挙には出ない。他候補の応援はする。

兵庫県は、官公庁が「パワハラの権化」であり、兵庫県の民間企業においてもパワハラ、カスハラが蔓延するのもうなずけます。兵庫県はこういう体質なのでしょうか。情けない限りです。

元県民局長は本当に自殺したのか

暴力団がよく使う手口に酷似しているというのが、政治ライターとしての私の第一の所感でした。

暴力団や反社会的組織がなくならない理由は、「必要悪」として求められているから。たとえば、社会的立場のある人間が美人局に遭ってしまった。もし相手が未成年であれば、金銭含め、同意があったとしても青少年保護育成条例違反。

そんな場合は、警察に頼れない。暴力団に頼る。今回のケースも暴力団や反社会的組織の守備範囲です。どういう風にターゲットを追い詰めて、自殺させるのか。

暴力団員らは、徹底的にターゲットを追い回します。家族の写真の隠し撮りを自宅に送る。こっそりとバッグに忍ばせることも。脅迫電話含め、道中においても恐喝を受ける。家族に危険が及ぶと思い、自宅にはいられなくなる。

ホテルを転々とするも、どこに行っても、家族(ex.奥さんや娘さん)の隠し撮り写真が部屋に届くんです。もう頭がおかしくなりますよ。ふらふらとなり、さまよい歩く。元局長が姫路の親戚の空き家(?)に逃げ込んだ気持ちはよくわかります。

依頼者は焦っていたと思いますよ。7月19日には、元局長は百条委員会で証人として出席する。質疑に応じることになっていた。もう時間がない。

一刻も早く、自殺に追い込むしかない。いったいどれほどのお金が支払われたのか。暴力団はメンツにかけても成功させる。

結果的に、証人の自殺を「成功」させました。証人尋問ができないのであれば、7月19日の百条委員会は流会になるしかありません。

もちろん、元局長の自殺の真相は警察の調査による報告を待つしかありません。上記は、私の憶測を出ないもの。ですが、いま一番喜んでいるのは斎藤元彦知事です。

斎藤元彦知事はさぞや「しめしめ」とほくそ笑んでいるでしょう。非常に残念ながら、事の真相は闇に葬られることになりました。「死人に口なし」。斎藤元彦知事の「完全勝利」です。

【追記】ニュース速報を確認すると、3月25日に人事課が元県民局長のPCをアポなしで押収しており、PC内にある「告発文とは無関係の私的な文書」も百条委員会で開示する予定だったとか。元県民局長の自殺後、9日には緊急理事会で、告発文と無関係の文書の非開示が決定しました。最後まで、斎藤知事を擁立した維新派の議員らは反対に回ったとか。

告発文を作成するにあたり、PCの中には県職員の協力者の名前も文書として残っていた可能性があります。その方々に迷惑をかけたくなかったのか。うーん。私見では、やはり自殺に追い込まれた理由は、「暴力団による恐喝」が一番しっくり来ますね。

もちろん、私の私見は憶測のレベルを出ません。ですが、世間慣れしていて、ある程度の年齢を経た方には、ご納得できる部分が大きいと思います。

あまりにも斎藤元彦知事にとってタイミングが良すぎる自殺ではありませんか。このような疑惑を持たれても仕方がないでしょう。

今後の方向性

7月10日の記者会見でも斎藤元彦知事は辞職しない。2025年の任期満了まで務める。その頃には、この事件が多少なりとも風化している。そこで2期目を狙う。そのような筋書きになると思います。

元県民局長が自殺され、証人尋問がなくなった以上は、百条委員会はもはや機能しません。一方の当事者がいなくなったのですから。兵庫県民のみならず、全国民が今回の事件の結末に「納得がいかない」と思います。

今後の方向性として、まず兵庫県職員の労組の知事辞職要請では事態はまったく動きません。なんら効力がないですからね。

百条委員会における真相解明が潰された今となっては難しいところですが、兵庫県議会が臨時会を開き、首長の不信任決議を出すしかありません。

ですが、かなり難しいと思います。不信任決議のハードルは極めて高い。議会と首長が真っ向から対立しているような状況でないと通らない。不信任決議は地方自治法第178条で規定され、

地方議会の議員の3分の2以上が出席して4分の3以上が賛成すると不信任決議ができる。首長は通知を受けてから10日以内に議会を解散することができ、議会を解散しない場合、または、解散後の初めての議会で3分の2以上の議員が出席し過半数が賛成し、再び不信任決議され通知があった場合、首長は失職するという規定がある。

不信任決議と首長の失職 NHK政治マガジン https://www.nhk.or.jp/politics/kotoba/89876.html

兵庫県議会は定数が86名。そのうち、百条委員会設置に反対した斎藤知事擁護派の会派は大きく二つ。第2会派「維新の会」に所属する議員21名。第3会派の公明党13名。半数は斎藤知事派なんですね。

世界一、憲法改正が難しい日本国憲法ですら各議院の総議員の「3分の2以上」です。「4分の3以上」がいかに難しいものかがわかる。徹底的に、首長と議会が喧嘩状態になっている場合でなければ不可能。

近年では、2022年東京都あきる野市長が二度の不信任決議の末に辞職しました。このケースでは、もともと市長には議会に基盤がなかった。最大会派の自民党の擁立候補を打ち破り市長になったものの、さいごは市長側の共産党議員からも見放される始末。

今回は、維新の会が斎藤元彦知事側に完全にべったり。維新の会や公明党に所属している議員の「造反」がなければ、不信任決議はまず通らない。

市民はリコールという解職請求を行えますが、ハードルがめちゃくちゃ高い。地方自治法第81条にて首長に対する解職請求は行えますが、

有権者の3分の1以上の署名が必要。有権者数が多い都道府県知事でのリコール成功事例はいまだなし。署名も2か月で集めなくてはいけません。実質的に不可能です。

兵庫県の有権者数は約450万人。人口が多い自治体は3分の1以上が緩和されており、計算方法は省きますが、ざっと70万票。以前は押印さえ求められていましたが、2021年9月から廃止。

それでも氏名、住所、生年月日まで記入する必要がある。選挙における投票よりもはるかに個人情報の記載が求められる。そこまでできる訳がない。

元県民局長を自殺に追いやり、百条委員会をつぶした時点で、斎藤元彦知事の「勝利」が決まりました。

近年では、パワハラ暴言大魔王の元明石市長の泉房穂氏、「このハゲェ!」の罵倒で有名になった豊田真由子元衆院議員。ドスケベ元官僚の前川喜平氏も「ちゃっかりと」言論界やメディアの世界でご活躍されているような状況。

斎藤元彦知事のパワハラもすぐに忘れられますよ。斎藤知事は今後も内心では「しめしめ」と思いながらも、表では「お悔やみ申し上げまーす(笑)」と言っておけばいい。

内部告発者を守る制度。暴力団、反社会的組織からの恐喝など、あらゆる圧力からご本人やご家族を守る制度が作られない限り、現在の状況は変わらない。今回は、もう勝敗は決しました。

非常に腹立たしいですが、斎藤元彦兵庫県知事と維新の会の「完全勝利」となりました。

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