11月17日に兵庫県知事選が迫る中、あらためて状況整理と今後の選挙戦略について考えてみたいと思います。
現状では、斎藤前知事は絶対に通りません。彼の選挙戦略は決定的に間違っているからです。※この点は、後半の選挙戦略で語ります。
まずは状況整理から始めたいと思います。昨今は、Xやインスタなど、手軽に始められるSNSの登場により、誰でも情報発信ができる時代に。
芸能人に至っても、フォロワー数〇〇万人と競い合う状況。フォロワー数の多さによっては広告収入も発生する。有名になればTVやメディアでの露出も増えるからです。
炎上商法に代表されるように、過激な投稿によって耳目を引き付ける方も。
そんな中で、今回の兵庫県知事選はだいぶ荒れた状況となっています。ひとつは、SNSによるインプ稼ぎの反乱です。
「20m歩かされただけで厳しい叱責」「お前はエレベーターのボタンも押せないのか」などのパワハラ行為で全国的に有名となった斎藤元彦氏。
兵庫県では、泉房穂元明石市長のようにパワハラに対しても寛容な姿勢をとる県民として全国でも知られております。その兵庫県民でさえ、より正確には兵庫県庁職員が耐えられなかったパワハラ。
はじめはメディアを筆頭に、斎藤さんは四面楚歌状態でした。「斎藤を逮捕せよ!兵庫県民はいつまで知事をやらせてるんだ。兵庫県民はバカじゃないのか」
私は、県民の一人としてこのような状況を忸怩たる思いで見ておりました。もちろん斎藤前知事のパワハラ行為は容認できません。ですが、私が一貫して主張し続けていたことは、
パワハラ行為は法定刑がなく、逮捕は不可能である。パワハラは全国の首長、霞が関の国会議員にとって「自然」行為。斎藤さん一人だけが悪いわけではない。彼の個人的資質もあるが、構造的な問題であると考え、全国で再発防止策に取り組まなくてはいけない。
Youtubeで散見される「兵庫県民をバカにする」コメントの多さに対し、斎藤前知事を選んだ県民の責任ではなく、パワハラの構造的問題に注目してほしいという趣旨の発言をしていたのです。
特に「おねだり」行為などは、悪質なネーミング。日本社会では慣習的に訪問時にお土産物を持参するでしょうに。別に問題行為でもなんでもない。
逆に斎藤前知事のパワハラ行為を覆い隠すものではないか。マスコミもそんなに取り上げるべきじゃなかったと思いますね。
再発防止策としてパワハラ防止条例を作り、政治家の振る舞いを正していくべきです。面白くない主張ですが、日本全国の自治体が一丸となってパワハラ罰則化に取り組んでいく。
ほんとによい機会を与えてくれた。そういう意味では斎藤さんに感謝しても良い。しかしながら、
9月ごろからでしょうか。Xで面白おかしく「#さいとう元彦がんばれ」のインプ稼ぎ/インプレゾンビのポストが出てきました。
Xは「いいね」「リポスト」数のみならず、2022年12月からインプレッション数も表示されるようになり、ますますユーザーの承認欲求を満たす小道具が追加されたのです。
収益を得ることも可能ですが、3か月で500万回以上閲覧されるという厳しいハードル。Xで240万人ものフォロワー数がいるひろゆき氏でさえ月額6万ほどの収益にしかならない。まあ無理ですね。
特にX(旧ツイッター)は承認欲求を満たすことぐらいしか利用価値がなくなってきた。「#斎藤知事の辞職を求めます」の投稿では面白くない。反対のことを言えば注目されるんじゃないのか。社会心理学では、
流行が生まれる際には、まず「変人」が登場する。変人は自分の行為の価値を気づかないでやっているのですが、その行為に「やり手」が注目する。「大衆」はその後に遅れて付いていくという考え方があります。
「#さいとう元彦がんばれ」は、「変人」の直観でも何でもなかったんですが、SNS界の「やり手」が飛びついた。そして、少しでもインプレッション数やフォロワー数を稼ごうと、「大衆」が続く。
いまはこんな状況となっています。
気になる点は「目覚めました。これまではマスゴミに騙されていました。斎藤さんは立派な方です」とか、「斎藤さんはパワハラなどしていない」とか、
これまでは散々けなしていたSNSユーザー、コメンターたちが手のひら返ししたことです。理由はいくつか考えられ、
①自分でものを考えようとしない、ついていくだけの「大衆」
②反マスコミ・反権力志向が強い、独善主義者
③面白いことに飛びつくだけの快楽主義者
昨今の闇バイトになぜこうも飛びつくのか。理由の一端が少しわかった気がします。匿名だからと言って、そうコロコロと自分の意見を変える人間がなんて多いことか。
闇バイトのリクルーターの巧みさもあると思いますが、上記にあてはまる人間ほど、闇バイトの餌食となっていくでしょう。
②の人種も厄介なグループで、彼らの言い分はかなり危険です。マスコミは全て悪だと決めつけ、デマ情報を流す。一方で、ネットの世界は正しい情報を流す。そういうあまりに極端なスタンスの方が非常に多い。
以前は「ネットは胡散臭い」「ネットの情報よりも、新聞や書籍、雑誌の情報の方が何重にも裏付けが取れており、安心だ」という意見が一般的でした。
スマホが2010年代から普及し始め、インターネットに接する時間が長くなった。そして、2014年に朝日新聞が従軍「慰安婦」が誤報であったことを朝刊の見開き両面ページで謝罪した。この頃から大手新聞、メディアの権威が地に堕ち始めた。
スマホで常にネット情報に接するようになり、親しみがわく。便利だ。面白い。動画も観れる。生活必需品となったスマホ、ネットへのアクセス権に対して忌避感を感じにくくなった。なんだ、新聞だって間違うじゃないか。
もともと大手新聞、メディアに対して批判的な人たちはいました。東大、京大、早慶上智など一流大学のエリートしか入れない世界です。正直言って、私も彼らに対しては嫉妬心が強いです(笑)。
ですが、大手新聞、大手メディアの主張の方が信ぴょう性が高いと確信しています。マスコミもネットも間違うことはありますが、ネットユーザーのアマチュア意見の方がよほど危険です。
両者ともに広告収入など金稼ぎ商業行為ではありますが、
新聞記事や雑誌論文のように、社内や学者同士で、編集も査読もされていない。特にXなどは140文字です。正確な主張など不可能です。
自分で返信を連投して続けて書く方もいますが、自分の主張を世に広めたい。理解してもらいたい。
本気でそう考えるなら、ブログ記事のURLをつけてほしいですね。せめて2000字以上の文字数できちんと書く。せめてそれくらいの文字数の情報であれば。素人のネット記事でも目を通しますよ。
それなりの文章量の記事が何本もネットから出てきて、スマートニュースなどでも拡散される。メディアの風潮も変わっていく。起爆剤にはなり得ると思います。
そんな頑固一徹の書き手である私ですが、兵庫県知事選に関しては一貫してぶれていません。斎藤前知事がパワハラ行為を真正面から受け止め、謝罪しない限りは県知事選で当選することはありえません。
まず考えてほしいのは、兵庫県の有権者450万人のうち、65歳以上の高齢者は155万人いることです。
上記は国勢調査資料から。兵庫県の高齢者は全体の29.3%。約155万人。この155万人のうち、何人が投票にいくのか。
直近の令和6年10月の衆院選小選挙区では、兵庫県のみの投票率を計算すると、240万人が投票。全有権者が450万人なので、投票率は約53%。これは令和3年の衆院選の投票率56%と近似しております。
前回の兵庫県知事選の投票率は41.1%。今回は、注目度も高いので、55%前後と考えてみます。
となれば、年齢別の投票率がわかる令和3年度の衆院選のデータをここでは使ってみます。60歳代と70歳代の投票率を足して2で割ってやると、約66%。
65歳以上の高齢者数が155万人なので、やや乱暴ですが、155万人×66%で計算すると102万人。もし全体の投票率が55%前後と捉えると、投票人口は約240万人。65歳以上の高齢者の占める割合は、102万人÷240万人=42.5%となります。
石丸さんは安芸高田市でも実績を積み、「居眠り議員は要らない。恥を知れ!」と怒鳴りつけた方です。他称・極右の私でも石丸さんのファンです。全国民が思っていることをズバッと言ってくれた。
地元の中学生が美術館を残してくれと懇願しても「ならば、〇〇中学校の予算を美術館存続に回してもいいです。これから○○中学校に入る未来の子どもたち。彼らにもしわ寄せがいく。いいんですか」と切り返す。赤字で採算が取れない公共施設は存続できない。はっきり言う。
斎藤前知事とはまったく格が違う政治家です。そんな石丸さんでも都知事選で圧倒的に負けた。小池さんが高齢者票を6~7割以上獲得したからです。
兵庫県でも同じこと。高齢者票を取らなければ選挙には絶対に勝ちません。その高齢者の評判がどうなのか。斎藤前知事はすこぶる評判が悪い。肌感覚でそう感じております。
政治家であるならば、潔く辞職する。責任を取るもの。謝罪もしないで、いつまでも地位に固執して、最後は不信任決議まで出された。兵庫県の恥をさらしてくれた。そういう厳しい声が多いのではないでしょうか。
SNSでは確かに石丸フィーバーも起きていましたが、それ以上にひまそらフィーバーが起きていました。ひまそらあかね氏はネットの世界で有名人。私も彼の政策を好意的に評価し、別記事でも最高評価を与えております。
しかし、都知事選では10万程度の票しか入らなかった。SNSで話題になっても、実際の選挙では完敗しています。
SNSは全国民が利用でき、「自分は兵庫県民です。○○さん一択です。投票してきました!」といくら声が上がろうが、本当に兵庫県民かどうかも怪しいのです。SNSは空中戦。
結局は政党所属の地元議員が日頃から選挙区であいさつ回りをする。その議員さんが応援する候補者に投票する。確認団体のビラ配りが出来るような大政党の支援を受ける。これが選挙で勝つ確実な方法です。
斎藤さんの場合は、高齢者に嫌われるようなことしかしていません。自民党支持者の方ですら「斎藤さんだけは通したくない。嫌だけど、稲村さんに投票する」そんな声が大きい。
繰り返しますが、有権者450万人のうち65歳以上の高齢者は155万人。そして、高齢者の方が全体の投票率と比べて15~20%も高い。
石丸さんでも勝てなかったのに、どうして斎藤さんのような格下が勝てるのでしょうか。もし斎藤さんが選挙に勝ちたいのであれば、今すぐでもパワハラを認め、謝罪すること。
ネット、SNS世論に惑わされない高齢者票が欲しいのであれば、そうすることです。
涙ながらに謝罪し、反省の弁を述べ、高齢者から反感を持たれているNHK党と手を切り、元県民局長の自宅に行き頭を下げる。墓前で謝罪する。自分は弱かった。涙を流す。パワハラ防止条例を作って、二度と起こさないと宣言する。
斎藤さんの気持ちはどうでもよろしい。自分の気持ちなどではなく、勝つために必要なことをする。知事選に勝ちたいなら、自分のつまらない感情は捨てる。
いま街頭演説で応援してくれる人間じゃなく、見向きもされない通行人の気持ちを理解するように努めなくてはいけません。選挙はそういうものです。
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