カルト宗教とは 一般的な宗教との違いや問題点はどこ?

時事問題
©いっせい

私はこれまで数多くのカルト宗教からの勧誘を経験してきました。

創価学会、冨士大石寺顕正会(ふじたいせきじけんしょうかい)をはじめ、キリスト教系のカルト宗教などなど。道端でも、よほど隙があるんでしょうか。必ず勧誘に逢います笑。ナンパと同じですね。

そのたびに、私はよほど世間慣れしておらず、声を掛けても怖くなさそうな「カモ」に見えるんやろなと、嫌な気持ちになります笑。

本記事では、カルト宗教の定義から問題点、カルト宗教と一般的な宗教との違い、実際に遭った体験談、日弁連のカルト宗教に対する報告書をひもとき、カルト宗教の実態を探りたいと思います。

カルト宗教の定義とは

カルトの定義は難しい。櫻井義秀氏著『「カルト」を問い直す』(中公新書ラクレ)を確認すると、

特殊な宗教組織が一般市民を騙し、金銭と労力を搾取する現代の社会問題”とし、その騙し方が「マインドコントロール」という特殊な精神操作であると指摘します。また、信教の自由を保障する民主主義体制・価値観多元主義社会ではカルトを取り締まることは不可能とも言います。

ぶっちゃけていえば、怪しげな新興宗教団体ですよね。その宗教に入れば、お金をむしり取られ、人生も壊される可能性がある。

社会的な評判も相当悪く、個人情報もしっかり把握され、何度も電話で勧誘される。自宅にも押しかけられる。個室などに監禁され、「入信する」まで何時間も「説得」。

そもそも、勧誘という布教活動をしないのが普通の宗教団体でしょう。

創価学会信者(カルト宗教)が飛び上がるほど驚いた!?

私は、プロテスタントの教会に何年も通いましたが、信者になりませんでした。信者になれ!とも言われず、心の病で苦しむ身内の相談をずっとしていました。

私の身内が通っていた高校はミッション系スクールであり、その宗派が作った学校でした。牧師の先生も若い男性の方で、今でも交流があります。私はカルト宗教信者に対して次のように説諭します。

もしあなたの所属する宗教が新興宗教・カルト宗教と言われたくないのなら、「そもそも勧誘をしてはいけない」。これは当たり前です。入信「させる」ことが宗教の目的ではないからです。

正体を隠して、私を勧誘してきた創価学会の連中は「そこまでしといてクロージング(入信させる)させないなんて・・・。意味がわからない。何のために相談に乗っていたのか?」と、飛び上がるほど驚いていましたよ笑。支部長の息子(宗教2世)も「そんな世界があるの??」みたいなことを言い出す。

これがカルト宗教と一般的な宗教との違いです。宗教とは、個人の幸福を願うもの。勧誘・布教活動がメインではない。

「この子を創価学会に入れさせてやる」「あの大学生の子は親がお寺さんなんや。だから落とせないんだよね笑」普段は丁寧な方が、こんなことを言うなんて信じられなかった。

創価学会員であることも、創価学会の勧誘であることも隠して、自宅に「ご飯を食べよう」と招き入れる。こういうことをしている連中ですが、まだもう少し人としての良識があると思っていた。正直言って、今でもショックですね。

その方は習い事の先生でしたが、創価学会というカルト宗教がこの人をおかしくさせたのでしょうか。自分の教え子をせっせと創価学会というカルト宗教に入信させようとする。孫までいるような年齢の人が、自分の信仰している宗教に「落としてやる!」とか、普通ではない。

大学では、コーラス隊を装ったダミーサークルで勧誘

創価学会以外にも、オウム真理教(現在・アレフ)、統一教会、ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人)など、カルト宗教は日本にはびこっています。

カルトの原義はもともと儀礼や崇拝。アメリカでは一般的に、伝統的なキリスト教とは違う異端の新興宗教という意味で使用されています。日本では、仏教系も含め、正体隠しの勧誘をするなど、悪質な新興宗教団体をカルト宗教と呼んでいます。

私の大学時代も、ゼミやセミナーの研究会という名目で、カルト宗教の勧誘をしているサークルが多数存在しました。そして、絶対に宗教団体名を名前に入れません。

たいてい横文字の英語名です。一見、宗教団体の勧誘サークルとは思えない。偽装しているのが特徴です。私はコーラス系のサークルなのかなと思ったほど。

キリスト教では讃美歌を歌うので、聖歌隊(コーラス隊)がいます。コーラス系、英会話系とかに偽装しやすいんです。

私の大学時代に流行ったのが、「たけのこ長」がいるカルト宗教。私の学部・学科にそのカルト宗教の勧誘をしている奴がおり、大学の先生も困っていました。こやつは、留学相談やら何やらを装って、熱心に勧誘。大学の教授・非常勤講師にも勧誘をする。ある意味すごい奴です。

私の後輩も「留学」相談を名目に、ご飯をご馳走してもらい、いつの間にかカルト宗教の話に。まあとんでもない奴でしたよ。ちなみに、こやつの入っていた「たけのこ宗教」とは何なのか。

韓国系キリスト教会で、ヨハン教会かサラン教会だったと思います。

「たけのこ長」とは蔑称で、実際は筍長(しゅうちょう)というみたいです。小グループのリーダー。大学生時代に入信し、社会人に上がると筍長になる。学生時代は、ものすごく「よいしょ」されます。

しかし、社会人になると多額の献金を求められ、筍長となり、執拗な勧誘をしなくてはいけない。土日に大学生のアパートまで来て、教団の活動に誘う。学生時代は天国やが、社会人になると地獄。そんな話を大学時代に聞きました。

宗教学者・川島堅二氏の論文に詳しく説明されていました。せっかくなんで、少し参照してみます。

筍長はドアの隙間に素早く足を入れ、そのわずかな隙間から話を・・・

川島氏によれば、「たけのこ長」は「弟子訓練」という「宣教のメソッド」であるとのこと。一般信者と違い、訓練を受けた「弟子」(たけのこ長)は礼拝・祈り等の宗教上の生活に加え,勧誘・布教活動を務めるのだとか。

ヨハン教会の創設者、牧師・金圭東(キムギョドン)は、自伝的著書において「弟子訓練」を受けた筍長(小グループのリーダー)の模範的な行為として,次のようなエピソードを紹介しているそうです。

「彼ら(筍長)は,アパートの扉を固く閉めて顔さえ見せない新来者の家を訪ねて扉をたたく…扉を開けようとしたが訪ねて来た人が筍長だということに気付いた筍員(信者)が急いで扉を閉めようとすると,筍長はドアの隙間に素早く足を入れて確保したそのわずかな隙間から話をする」

「(信者が)一回礼拝をさぼると一週間ずっと筍長たちの訪問を受ける」

「ある筍長は扉を開けてくれない筍員に話をするために周辺の電信柱に登り,窓を叩いた。その熱意に感動した筍員が後に筍長になり,自分が受けたように筍員に愛を施すのを見て私はとても安心した」

まあとんだ変態行為のオンパレードです。私の大学にいた奴も今ではこの筍長になり、このような行為に及んでいるのでしょう。あやつならあり得るな笑。

川島氏は、これらの行為を「迷惑行為」であり、「信教の自由」には「信じない自由」も含まれている。筍長らの行為は「信じない自由」という意味での「信教の自由」の侵害,つまり人権侵害的行為と言ってもよいと主張しております。(参照元:川島堅二『韓国系キリスト教会の「弟子訓練」についての批判的考察』恵泉女学園大学紀要/第25号)

日弁連の報告書が伝える カルト宗教被害者の悲劇

日本弁護士連合会(日弁連)の1999年の報告書(反社会的な宗教的活動にかかわる消費者被害等の救済の指針)は、

現代社会において許容される宗教活動範囲を国会で議論すべきだし、信教の自由も無制限に認められるものではないと述べております。

1999年時において、もうすでに統一教会を代表とする霊感商法は問題視されていました。日弁連は、霊感商法と同様な手口による献金勧誘行為も違法性が確立している(平成6年5月27日福岡地裁判決など)し、同種に被害相談は現在も続き、多様化・深刻化していると述べています。

この報告書の興味深い点は、典型的相談事例としていくつもエピソードを紹介しているところ。ここではそのうちの一つを紹介します。

A女(32歳)は、24歳の時、駅頭でアンケートに応じたことがきっかけで甲教団のビデオセンターに通い始めた。当初は、「宗教とは関係ない」「一般教養などを勉強する所」と教えられていたが、その後甲教団の伝道機関だと知らされた時には既にのめり込んでいた。(略)半年後に会社を退職して献身(教団の施設に住み込み、24時間教団のために活動すること)した。

献身直前には教団のために銀行やサラ金から借りられるだけ借金をさせられた(返済は教団がすることになっていた)。両親に献身のことを告げると猛反対されたため、家出して教団の施設に住み込んだ。

教団はA女の両親がA女を連れ戻すことを警戒し、A女の居所を決して家族に教えなかった。家族が教団に電話をしても「本人が教えたくないと言っている」との理由で取り次がれなかった。A女は献身した後、毎日戸別訪問での物品販売や街頭での伝道活動に従事した。

A女には、着物や絵画の販売会社の従業員として毎月25万円の給与が支払われていることになっていたが、実際にもらったことはなく、毎月小遣いとして1万5000円が支給されていた。長期間の過酷な生活のために、A女は精神状態のバランスを崩してしまった。

すると教団は、「あなたには献身生活は勤まらないから親元に帰りなさい」と言って、A女を教団から追い出してしまった。現在A女は精神科で治療を続けているが、教団で教え込まれた「教義を捨てた者は地獄に堕ちる」などの教えが頭から離れず、恐怖心に支配されており、治療にも支障をきたしている。教団が約束した金融機関への返済は、途中から行われておらず、サラ金からの催促も来ている。

キーワードがいくつも出てきますね。

「セミナーなどを偽造し、正体隠しの勧誘」「家族・友人など外部ネットワークからの遮断」「教団施設内に閉じ込めてから、徹底的に洗脳させる」「施設内での共同生活を通じ、仲間意識を作る」「借金させて献金。戸別訪問、街頭での伝道活動」「オウムのように、自分たち宗教団体の傘下法人で働かせる。ほぼ人件費はゼロなので、かなり教団が儲かる」

しかし、統一教会のように、「若い日本女性は韓国人男性に嫁ぐことで、罪が清められる。戦前は、日本人は朝鮮を略奪、朝鮮の若い女性を慰み者にした。だから日本人女性は韓国の農村に行き、韓国人男性に奉仕するのです」は出てきません。

自分の娘が韓国に行って行方知れず。安否不明であり、何年もご両親が韓国中を探し回るという悲劇もあります。A女さんのケースでは、自分の親元に帰ってこれただけでも、まだましなのかもしれません。

おわりに:カルト宗教から無事に脱会するのは極めて難しい

カルト宗教は脱会するのが大変です。カルト宗教に入ることで、これまでの人間関係はリセットされます。「○○君は、□□宗教に入ったんだって」となれば、友人・知人らは離れていくからです。

結局、さみしさから一度脱会した宗教に戻る人もいます。暴力団、ヤクザと同じです。一度その世界に入れば、元いた世界に戻ることは難しい。

実際に、カルト宗教被害にならないためには、入口で防ぐ以外にないんじゃないかなと思います。私の大学時代でも、「入信したらもう手遅れ」という感じでした。

ダミーサークルとはいえど、散々ご飯をごちそうになり、遊びに連れて行ってもらい、楽しい思いをしたわけです。まともな人間であれば、「ここまでしてくれたんだから・・・」と返報性の原理が働きます。

一定期間親しく付き合った人に対して「カルト宗教の勧誘だなんて知らなかった。もう付き合いを辞める」とか言えないですよね。大学だったら、相手は先輩ですよ。同じ学部の先輩だったらなおさら難しいでしょう。

保険営業や訪問販売なども嫌われる職業ですが、彼らはまだ「自分たちは○○を販売しています」と名乗るだけましですね。

カルト宗教の怖さは「正体隠しの勧誘」「ご飯などご馳走する」「自宅などに招かれる」「もともとの人間関係を利用」。保険営業は一部当てはまりますが、まだ断りやすいんですよ笑。

信教の自由に踏み込んだ議論を国会や裁判所がしていかない限り、現状では被勧誘者である私たちが賢くなって、「入口」で防ぐしかないと思います(了)。

※日本脱カルト協会HPのコンテンツ「カルト問題Q&A」に”自分や家族がカルト宗教に巻き込まれたらどうすればいいの?”という内容を見つけました。もし現在進行形で被害に遭われている方は、ぜひこちらもご参照くださいませ。

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