被害者救済法の問題点とは 「被害者」が存在しない法?宗教問題への解決策も提示

時事問題
写真はイメージ ©すしぱく

2022年12月に成立した被害者救済法。正式名称は「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」という。ですが、被害者をまったく「救済」しない法律だといわれます笑。

この法律ではそもそも「被害者」が存在しなくなるとか、取り戻せるお金が少ないとか。

不当な勧誘の防止が目的ということは、「正当」な勧誘は禁止されていないということ。すなわち、どのような勧誘行為を「不当」とみなすのか。その範囲に関しても問題点を指摘されています。

今回は、果たして被害者救済法がまったく役立たずな法律なのか、役に立つ法律とは実際どのようなものなのか。消費者契約法も同時に改正されており、合わせて説明していきたいと思います。なるたけ口語的にわかりやすく説明します笑

統一教会のやり口は霊感商法対策・消費者契約法改正では防げない

被害者救済法とならび、「霊感商法等による消費者被害の救済の実効化のための消費者契約法等改正」(令和4年12月10日成立)も行われおります。

宗教における寄付・献金を「なんで消費者契約法の改正で対処するの?契約ではないと思うけど・・・」私はそのように疑問に思いました。政府は宗教法人への寄付・献金規制に関して後ろ向きなのかな。

どうやら霊感商法に該当するものは消費者契約法で扱えるようです。

※霊感商法:単なるつぼや印鑑・置き物などに、あたかも超自然的な霊力があるように、言葉たくみに思わせて、不当に高い値段で売り込む商法(引用元:警視庁HP)

霊感商法における消費者契約法改正の中身を確認すると、まさに霊感商法対策でした。「先祖供養しないと病気は治らない」「このツボを買えば、夫婦円満で過ごせますよ」とか。

このままでは、現在もしくは将来に重大な不利益が起こりますよ!不安をあおり、契約するしかないと告げる。消費者が困惑し契約してしまった場合、取り消すことができるとのこと。(参照元:霊感商法等による消費者被害の救済の実効化のための消費者契約法等改正について(消費者庁/PDFリンク))

しかし、統一教会や創価学会の場合は、こういう一般的な霊感商法というよりも、信者になってから「自ら進んで寄付・献金をしている」ように思えます。

その場合は、もちろん対象外です。消費者契約法をいじったところで、なにか効果があるんですかね。ちょっと疑問です笑。

被害者救済法も「お金」を取り戻すことは非常に困難

霊感商法は高額な印鑑・壺を購入させる悪質商法ですが、悪質な寄附・献金要求を撃退するのが被害者救済法です。

正式名称は「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」。この「法人等」は宗教法人も含まれます。

消費者契約法では救済できない寄附にも適用できるのが利点と謳いますが。実際はどうでしょうか。

被害者救済法は大きく配慮義務と禁止規定の二種類から成り立ちます。(参照元:寄附の不当な勧誘による被害の救済、再発防止に向けた法整備について(消費者庁/PDFリンク))

配慮義務とは、勧誘者(宗教法人)は、寄附を勧誘(要求)する際に、寄附者の”自由な意思を尊重してね”、”配偶者や子供さん含め、家族の生活が困らないように、そこまでしぼりとらないでね笑”というもの。

はたして、統一教会や創価学会の連中がそんなことを配慮するのかね?あくまでも「配慮」なんでね。「いやいや、配慮しましたよ!」と言われたら、「うーん。じゃあ、配慮したんですね。OKです・・・」と引き下がるしかありません。

禁止規定とは、”不当な勧誘をして、困惑させてはいけないよ”というもの。具体的には、①不退去、②退去妨害、③勧誘をすることを告げず退去困難な場所へ同行、④威迫する言動を交え相談の連絡を妨害、⑤恋愛感情等に乗じ関係の破綻を告知(デート商法)、⑥霊感等による知見を用いた告知、など。

私も、創価学会の勧誘をされたことがあります。上記の③/⑤にあたります笑。「ご飯をご馳走してくれる」というのでご自宅に伺ったんです。お稽古の先生だったので、断るのも角が立つじゃないですか。

そしたら、いきなりビデオを見せられてしまい・・・「創価学会の勧誘ビデオ」。久本雅美の講演みたいなやつ。タレントを使った勧誘ビデオですね。聖教新聞が食卓にあり、「なんだ?この新聞は?えらく薄っぺらいな」と今でも覚えています。公明党のポスターがべたべた貼ってあったことも印象が強いですね。

※当時は聖教新聞が学会員御用達の新聞であることすら知りませんでした笑。

被害者救済法の禁止規定には、”ローンとかで金を借りて寄附させてはいけないよ”という規定もあります。”自宅をうっぱらって金を作らせるのもだめ”とか。

しかし、わざわざ要求しなくても、統一教会や創価学会の信者連中は、進んで寄附・献金しますよね。要求せずに、自発的に寄附・献金した場合はOKとのこと。意味があるんですかね?

罰則は、1年以下の懲役か100万円以下の罰金の刑事罰。配慮義務を怠った場合は、法人名の公表もするとか。

画期的かどうかはわかりませんが、この法律で、家族の救済も部分的に認められました。寄附した本人が取り消しを求めない場合でも、扶養されている子どもに一定の範囲内で「取消権」を認め、本来受け取れるはずだった養育費などを取り戻せるとのこと。

しかし、未成年の子どもがそんなことできますかね?子どもだって宗教2世だろうし、親御さん相手に戦いを挑めるのだろうか。よほど行動力のある高校1年生くらいの男の子とかを念頭に置いているのか。それに、養育費やってたかが知れています。たぶん、そんなに取り戻せないですよね。

※宗教被害に遭っている未成年の子どもの相談窓口として、国が用意しているのは、『子どもの人権110番(人権相談):0120-007-110 』くらいなもの。本来の目的は、いじめ相談です。どこまで宗教被害に対応しているのか、謎です。

♦寄附・献金はそもそも消費者「契約」に当たらない場合が多い

識者から「被害者救済法は、被害救済にはほとんど役に立たない」と声があがるのは当然でしょう。

全体的に、被害者救済法よりは、消費者契約法改正の方がまだ「頑張っているかな」という印象です。

しかし、宗教法人が行う宗教活動は、民法上の「契約」にはあたらない。つまり、消費者契約ですらないという現実があります。

消費者庁HPの消費者契約法・逐条解説を参照すると、”宗教活動に伴う喜捨や布施が、宗教法人に対する「贈与」(すなわち、契約)に当たるかどうかは、民法の解釈によって定まるものであって、本条の「消費者契約」の解釈によって定まるものではないし(略)”とあります。
結局は、ケースバイケース。裁判所の判断にゆだねることになります。
消費者契約法改正により、”困惑類型”が定められ、霊感商法もきっちり取消権を定めたのはよいとしても、そもそも消費者「契約」にあたらないのであれば無意味。
消費者庁における、第7回 霊感商法等の悪質商法への対策検討会(2022年10月13日実施)における報告書でも指摘されています。寄附の位置づけに関して、”いわゆる寄附の性質については、贈与・信託的譲渡その他の契約に該当する場合が多いと考えられるものの、金銭等の移転・交付の具体的状況ごとに評価する必要があること、さらに契約かどうかという入口で争いとなる(略)”と(引用元:霊感商法等の悪質商法への対策検討会・報告書)。
対策検討会では、寄附の無効含め、より幅広く一般的な寄附に関する禁止規範を規定すべきと主張しています。
しかし、まあ手ぬるい結論ですね笑。出席委員は紀藤正樹弁護士など。彼らはあまりにも踏み込み不足でしょう。やはり創価学会など宗教法人が怖かったのかな笑

写真はイメージ ©つるたま

♦宗教問題解決にむけて:宗教法人への寄付・献金に関する規制法(政治資金規正法の宗教バージョン)を作るしかない
誰も言い出しませんが、解決策としては、政治献金を禁止・制限した政治資金規正法。その宗教法人版を作るしかありません。
政治資金規正法では、個人からの献金は、年間150万円が限度。企業献金も上限1億円まで。
つまり、高額献金自体を禁止する法律を作ること。もちろん統一教会だけでなく、創価学会など他のカルト宗教団体にも同様に適用されます。
高額献金自体を禁止すれば問題は解決するのです。政治資金規正法を作ったように。なぜここまで踏み込まないのか?「献金を集めて、ウハウハな生活をしたい」などという、宗教団体のたわごとなど聞くに値しない。
政治家ですら献金は150万円まで。宗教団体も公益法人の一種です。だからこそ、法人であるにもかかわらず、固定資産税含め、幅広く非課税。税金の優遇措置を認めているのではないか。
本来であれば、献金など必要最低限で足りるのでは?お金儲けをすることが目的ではないでしょう?
創価学会や統一教会の人間だって、そう考えるんじゃないでしょうか。私たちの目的はお金集めではないから、自ら高額献金禁止を提案したっていいんじゃないですかね笑。
宗教法人を敵に回すことになりますが、政治家は宗教法人を守るのではなく、国民の生活を守ることを第一においてもらいたい。
消費者契約法改正、被害者救済法などで「遊ぶ」のではなく、とっとと政治資金規正法の宗教バージョン「宗教法人への寄付・献金規制法」を作ればよろしい。それで宗教問題は解決しますよ(了)。

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